経営の健全性・効率性について
収益的収支比率が65%程度であることから、経営にかかる費用のすべてを下水道使用料で賄うことができず、一般会計からの繰入金を充てて経営を行っている。企業債残高対事業規模比率が平成27年度で上昇しているのは、新たな企業債の発行が要因として挙げられる。平成27年度に面整備が完了したことから、今後は減少傾向が続く見込みである。経費回収率が90%程度であることから、汚水処理費や施設の維持管理費は使用料である程度賄うことができていると考える。汚水処理原価は施設の老朽化に伴う維持管理費の増加によって上昇傾向にある。類似団体に比べて低めに推移してきたが、平成28年度では同程度の水準となっている。施設利用率は左記の数値に誤りがあり、平成28年度末時点で36.34%である。また、過去の数値においても誤計上があり、実際は33%から36%程度で推移している。接続世帯の増加に伴い徐々に改善されつつあり、農集区域の統合によりさらなる改善を見込むが、類似団体と比べても低い水準にある。水洗化率は面整備を完了したことで高水準に達している。未接続の世帯についても引き続き接続促進を図っていく。以上のことから、必ずしも健全な経営とは言えないが、類似団体に比べ経費回収率としては良好な数値となっており、汚水処理原価も下回っていることから、下水道事業という社会インフラ事業としては、ほぼ適正な状況にあると考える。
老朽化の状況について
市が所有する処理場である大和クリーンセンターは、平成5年の供用開始から20年以上を経過している。施設の老朽化に対応するため、平成27年度から平成30年度まで長寿命化及び耐震化を実施する。管渠の老朽化対策は、平成28年度に策定したストックマネジメント計画を基に管路の調査や更新等を実施していく。平成29年度は老朽化したマンホール蓋の更新に着手する。
全体総括
下水道は市民生活の根幹にかかわる社会インフラであるため、健全で安定した事業運営を行う必要があるが、現状は必ずしも良好な経営とは言えない。農集区域の統廃合による効率化によって、一定の経営改善効果が見込まれるが、水洗化率はすでに高水準に達しており、今後の大幅な改善は見込めない状況である。健全な経営を持続していくためには料金改定が必要であるが、現在においても新潟県内で上位の高料金であり、市民生活への影響も大きいことから非常に困難である。今後も一般会計からの補助金を活用して安定した経営を行っていくとともに、計画的な施設の更新や維持管理費の削減に努め、より健全で効率的な事業運営を図っていく。