経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率、⑤経費回収率はともに上昇傾向にあり、経費回収率については類似団体平均値を上回っている。これは、事業初期段階において処理場建設費などが集中し、当時の償還がようやく終了時期にきたことで元利償還のピークを過ぎた26年度から減少に転じたことが要因と考えられる。同様に、⑥汚水処理原価についても、元利償還の減少に伴い縮小している。しかし、収益で回収できない経費分は、市一般会計からの繰入に頼らざるを得ない状況にあるため、今後も経費の節減に努め、経営の改善を図っていく。現在、未整備地区(新たな宅地開発等への対応含め)での枝線布設や、処理施設の長寿命化・耐震化工事に取り組んでおり、今後は管渠の更新工事も実施する予定であるが、事業を進めることで公債費(元利償還)の急激な増加に繋がらないよう財政状況を見ながら効率的に進めていく。⑧水洗化率は、類似団体平均値を上回り90%近くなっている。また、近年では有収率の低下が懸念されており、不明水対策が急務と捉えている。不明水の増加は処理経費の増加に繋がるため早急に原因を調査し改善に努める。
老朽化の状況について
布設後30年を経過する管渠が現れつつあり、有収率の低下も顕著となっている。カメラ調査等で実態を把握するとともに、下水道台帳のシステム化を図り、データに基づいたストックマネジメント計画を策定し効率的に更新工事を実施していく。
全体総括
今後は長寿命化工事など老朽化対策を含めた維持管理が主体となっていく。ストックマネジメント計画を策定し、国庫補助などの財政確保と後年度負担を考慮した起債充当により、効率的な事業運営を図る。また、より透明性の高い経営状況の開示を目的に平成32年4月からの公営企業会計の適用に向けた取り組みを進めるとともに、経営戦略に沿って健全な下水道事業経営を目指していく。