経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、各年度とも70%前後で推移している。未普及解消のための整備が途上であり、整備にかける投資(起債)が継続することから、今後も同様な値で推移していくことが見込まれる。前年度と比較し、料金収入は微減、反対に他会計繰入金は約35%増加している。H28年度の総収益に占めるそれぞれの割合は料金収入約52%、他会計繰入金約43%となっており、他会計繰入金の依存度が高い。④企業債残高対事業規模比率は、全国平均値と比較した場合の値は高いが、類似団体平均値と比べると下回る値となっており、投資規模はほぼ適切な範囲と考えられる。未普及解消のための整備が途上であり、整備にかける投資が今後も継続すること、さらに次年度より汚水整備に加え雨水整備も入ることから、企業債残高は上昇する方向へ推移していくものと見込まれる。今後も必要な事業を取捨選択し、地方債の発行抑制に努めることが必要。⑤経費回収率は、各年度とも50%台で全国・類似団体平均値を下回っている。H25年度からゆるやかに増加傾向にあるが、十分な料金水準であるとはいえない。⑥汚水処理原価は、例年横ばいの値で推移している。全国平均値と比較した場合はやや高めであるが、類似団体と比較した場合は低く、類似団体に比べ効率的な処理ができていると考えられるが、更なる有収水量の増加を図るため水洗化率の向上に努めることが必要。⑦流域関連公共下水道であり、処理場を有していないため該当値なし。⑧水洗化率は、年々増加傾向にあるが全国・類似団体平均値を大幅に下回っており、今後もさらなる水洗化率の向上を図る取り組み(普及促進員による各戸訪問等の啓蒙活動)の強化が必要である。
老朽化の状況について
③管渠改善率について耐用年数を経過し、改築更新が必要な管渠がまだないことから値は0となっている。しかし、管渠の改築更新は将来的に必ず発生してくるものであるため、今後の財政確保や財政運営に与える影響を踏まえながら、事業の計画・運営に取り組む必要がある。
全体総括
・本村の下水道事業は、一般会計からの繰入金に頼った経営となっている。また、これまでに消費増税以外での料金改定は行われておらず、今後適正な使用料収入確保のためにも料金水準の適正化の検討に努める必要がある。しかしながら、料金水準については、住民の理解や他市町村との比較等により早期の引き上げは難しいと思われる。また、未普及解消のための整備が途上であり、整備にかける投資がこれからも継続していくことから、これらのバランスをとりながらの財政運営となるため、大幅な経営改善は厳しいが、必要な事業の取捨選択や、水洗化率向上のための普及啓蒙活動の強化など、健全な財政運営のために可能な取組みを実施していく。