経営の健全性・効率性について
①経営収支比率は82.76%であり、平成23年度に当時の料金から平均17.8%増の料金改定を行ったものの、決して健全な経営とは言えない状況です。全国や類似団体の平均と比較した場合は、簡易水道事業としては良好な経営水準にあります。④企業債残高対給水収益比率は1,053.58%です。年々増加傾向にあるのは、平成29年4月1日に簡易水道事業(大島簡易水道を除く)を水道事業へ統合するための建設改良事業費として企業債の借り入れを行ったためです。結果として現在の簡易水道事業における企業債残高は、給水収益の10倍以上となっておりますが、水道事業への統合により、ほとんどの企業債は水道事業に引き継がれ、平成29年度以降の簡易水道事業の企業債残高は360万円に減少します。⑤料金回収率は75.79%であり、100%を大きく下回る状況から、料金設定の水準が低いことが表れています。全国や類似団体の平均を上回る点では、簡易水道事業としては比較的適性な水準です。⑥給水原価は236.41円であり、平成24年度から増加傾向にあります。全国や類似団体の平均と比較すると低めの原価ではありますが、引き続き経費の維持管理を徹底する必要があります。⑦施設利用率は55.22%であり、低い水準にあります。施設規模の見直し等を行い、効率的な施設利用を図る必要があります。⑧有収率は87.59%であり、全国や類似団体の平均と比較しても高く、効率的な管理が出来ていると言えます。
老朽化の状況について
③管路更新率は、平成27年度に管路更新率が増加しておりますが、これは、特に北郷地区の簡易水道事業について、簡易水道事業を水道事業へ統合するための建設改良事業を行ったことによります。全国や類似団体との比較では高い数値となっており、本市の管路の更新は進んでいます。残る老朽管更新についても、今後、計画的に更新を進めていきます。
全体総括
平成27年度現在の本市の簡易水道事業は、全国や類似団体と比較すると、経営状況は概ね良好と判断できます。しかしながら、①経営収支比率や⑤料金回収率及び⑥給水原価に表れているとおり、健全経営とは言い難く、また、老朽化する施設等の更新や、人口減少による水道料金収入の減少などの懸念があります。老朽化した施設の更新に併せて、適切な施設規模に見直す必要があります。現在、水道事業は健全経営と言える状況ですが、簡易水道事業(大島簡易水道を除く)の統合により、水道事業の経営を圧迫する恐れがあり、厳しい経営状況になることが予想されます。今後は、コストダウンや施設の効率的利用、企業債の借り入れ抑制などと併せて、料金改定を視野に入れながら、水道事業・簡易水道事業ともに、更なる経営健全化を図る必要があります。