経営の健全性・効率性について
長浜市の簡易水道事業については、平成25年度より長浜水道企業団との段階的経営統合を行っており、現在は、余呉・木之本簡易水道事業と西浅井簡易水道事業の2事業を経営している。収益的収支比率については、過疎化等の影響により、給水人口が減少し、料金収入も伸び悩んでいることから、平成27年度に地域内で格差のあった料金を統一し財務改善を図った。企業債残高対給水収益比率については、現在、統合再編事業に伴う浄水場施設整備のために借入を行った企業債が影響し、大幅に増加している。料金回収率については、類似団体の平均は超えているものの、給水人口の減少による料金収入の伸び悩みの克服が課題である。給水原価については、類似団体の平均より低く抑えることができているが、統合再編事業費の増加により今後高くなることが見込まれる。施設利用率については、給水区域の統合、施設の統廃合等認可の見直しを行い、給水規模を縮小したことから、類似団体の平均を上回る数値となっているが、今後は給水人口の減少が予想され、利用率は悪化してくるものと思われる。有収率については、総有収水量としては例年と変わりなかったものの、新施設への切替に伴う管洗浄を行ったことで送配水量が大幅に増加したため、大きく減少している。
老朽化の状況について
統合再編事業において、取水、浄水施設など、安全な水質の確保のための整備を進めているが、管路については、下水道管敷設時に更新を行っているため、現在のところ敷設後30年を経過したものはない。このことから管路の更新については、今後、事業移管先である長浜水道企業団の経営状況に鑑みて、アセットマネジメント、ストックマネジメントを策定し、計画的に行っていく予定である。
全体総括
長浜市の簡易水道事業は、類似団体と比較しても、有収率を除き、全般的に良好な数値を示しているが、今後は、過疎化等によって給水人口が減少し、料金収入が伸び悩んでいることに加え、統合再編事業費の増加による影響で、厳しい経営状況になることが予想される。しかしながら、料金改定も実施したばかりで、すぐにはできないことから、新規建設事業等を抑制することで、経営状況の悪化を防ぐ必要がある。なお、この簡易水道事業については、平成23年度に策定した地域水道ビジョンの重要施策として、長浜水道企業団との間で、平成25年度から段階的に経営統合を進めており、平成29年4月にすべての事業を移管する予定である。