経営の健全性・効率性について
■水道水1m3あたりにかかる給水原価は平均値と同じ程度であるが、料金回収率や収益的収支比率が、ともに100%以下であり、赤字が続いている。さらに、右肩下がりになっていることから、収益性が低下しつつあるといえる。■企業債残高対給水収益比率が平均値と比べて高いことから、収入に対する企業債の依存度が高いことを示している。今後、現在の統合整備に伴う企業債償還も始まることから、企業債の増加による経営の負担が大きくなると考えられる。■施設の利用状況や適正な規模を示す施設利用率については、現状平均値以上であるが、将来の人口減少に伴って減少していくものと考えられる。■有収率が平均値より低く年々下がってきていることから、収益につながっていない漏水量等が多いと考えられるため、その原因を特定し、対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
■現在は簡易水道事業のため、資産の把握を求められていないが、平成29年度に上水道事業への移行を進めており、それに伴って水道施設の資産状況や老朽化が明らかになる。■将来の老朽化に対する効果的な対策を実施するため、まずは現状を把握し、課題の抽出や中長期的な目標を定めた将来の計画を策定、それに基づき優先的な整備を進める必要がある。■連絡管の整備は進めているものの、既設の管路更新が進んでいないため、老朽管に対する計画的な更新が必要である。
全体総括
■平成21年度より上水道事業移行に向けて、簡易水道の統合整備を進めているが、まず安全な水質を確保するために、クリプトスポリジウム等病原性原虫対策としての浄水処理設備の新設・更新に係る整備や基幹配水池の耐震化など、施設の整備を優先的に行っている。そのため、高度成長期に布設された管路の更新は進んでおらず、近年漏水事故の増加や有収率の低下が顕著になってきている。■今後、人口減少に伴った給水収益の減少や、整備を進めてきた施設の企業債償還額の増加によって、ますます経営が厳しくなることが想定される。■今後は経営の持続性とともに、将来を踏まえて老朽管路の更新や基幹管路の耐震化に取り組み、安定供給を目指す必要がある。そのため、収益の確保が課題であり、経営の健全化に向けた取り組みが必要である。