経営の健全性・効率性について
・収益は安定し、経常収支比率が類似団体平均を上回る水準となっている。令和2年度の料金収入は、新型コロナの影響により微減となったが、経費回収率は100%を超えており、使用者が負担すべき必要経費を収入で賄えている。今後も維持していくと見込んでいる。・これまでの経営努力により累積欠損金はなく、今後も発生しない見込みである。・国庫補助金や企業債の活用などにより計画的な資金確保を行っており、流動比率は類似団体平均を上回り、100%に近い水準を維持している。今後もこの状況は維持していくと見込んでいる。・過去の積極的な投資により企業債残高対事業規模比率が高い傾向にあるが、企業債残高は順調に減少し、下水道接続の増加などにより収益は増加しているため、比率は低下傾向にある。類似団体との差は減少しており、今後もこの傾向が続くと見込んでいる。・処理場が一つであることなど有利な条件もあり、汚水処理原価は類似団体平均を下回り、施設利用率は類似団体平均を上回っている。今後もこの状況は維持していくと見込んでいる。・水洗化率については供用区域拡大に伴い増加した結果、類似団体の平均を超える水準に転じており、今後も増加を見込んでいる。
老朽化の状況について
・供用開始から25年を経過し、減価償却率は上昇傾向にある。法定耐用年数の長い管渠の占める割合が大きいこともあり、今後もこの傾向は続くとみられる。・処理場機器などは、法定耐用年数を超過したものがあり、更新や長寿命化等の必要性も高まってきている。近年、処理場の長寿命化計画策定や工事を行うなど、長期的な視点での施設更新を行っており、減価償却率の上昇を抑制し、単年度における更新費用の低減に努めている。
全体総括
今後の建設投資及び企業債残高とも減少傾向にあるが、単年度の元利償還額のピークが令和3~4年度にあり、資本費平準化債により減価償却額との差額負担について緩和措置をとっている。現状分析による今後の課題は、使用料収入を確保するとともに、一般会計繰入金の水準を安定させ、将来の大量更新に向けた自己資金を積み増すことにある。このため、使用料収入確保のための接続率向上の取り組みや、一般会計繰入金の安定のための財政部局との協議を引き続き行う。このほか、有収水量や人口の減少等を見据えた経費回収率については今後も100%超の水準が見込める状況にはあるが、引き続き支出削減や効率的な事業運営などの取り組みを続ける。