経営の健全性・効率性について
山梨市簡易水道事業は令和2年度から地方公営企業法の適用を受け、公営企業会計となった。その2年目である令和3年度では、経常収支比率が「100.08%」と黒字となったが、類似団体平均値を5.67ポイント下回っている。累積欠損金比率は「1.13%」と前年比0.23ポイント減となったが、未処理欠損金は未だに残っている。今後も適正な料金の検討や費用の削減を図ることで黒字を達成し、欠損金の解消に努めていく必要がある。流動比率は「9.76%」と平均値と比較して著しく低い値である。支払能力が不足する分は他会計からの補助や一時借入金によって補っているが、支払能力の向上を検討する必要がある。企業債残高対給水収益比率は前年度比でわずかに減少したものの、依然として平均値を大幅に上回る値である。今後、三富地域災害復旧事業のため、一時的に比率の増大が予測されるが、その後は計画的な更新を行い、減少傾向となる見込みである。料金回収率が「26.47%」と平均値を大きく下回っているのは、給水原価が「653.39円」と高いためである。施設利用率が「36.92%」と配水能力に余裕があることがうかがえるため、今後の水需要に合わせて施設のダウンサイジングを行うなど、維持管理費の削減を図る必要がある。有収率は「78.60%」と類似団体や全国平均をわずかに上回っているが、前年度比で1.90ポイント下落している。計画的な管路更新やメーターの定期的な交換により、有収率の上昇に努める必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は各平均と比較して低いが、令和2年度の法適用時に償却累計額が0で開始したためである。今後毎年の償却を行っていくことで平均値に近づいていくことが予測される。管路経年化率は「10.92%」と各平均を下回っており、計画的な更新ができている状況であると言える。管路更新率は「0.04%」と低いが、これは管路経年化率が低いことに加え、三富地域災害復旧事業に投資を充てているためである。
全体総括
経常収支が黒字となることで、欠損金の一部を解消することができているが、残りの欠損金の解消、高額な給水原価による料金回収率の低迷等、依然として経営課題が残る状況である。今後の水需要を予測した上でダウンサイジングを検討するほか、適正な料金を検討する等の経営改善が必要である。