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人口の減少や全国平均を上回る高齢化率(2年度末44.70%)に加え,町内に中心となる産業がないこと等により,財政基盤が弱く,類似団体平均をかなり下回っている。今後,数値の大幅な改善を見込むことは難しい状況にあるが,人口減少対策に関する施策と,引き続き徹底した歳出の見直しを行うとともに自主財源の確保に努め,安定的な財政基盤の確立に努めていく。
分母である経常一般財源について,普通交付税及び地方消費税交付金の増により増加した。一方で,分子である経常経費充当一般財源については,公債費が増となったが,扶助費及び繰出金の減などの減要因が上回ったことにより減少した。そのため,対前年度比5.3ポイント減少。令和2年度は類似団体平均を下回ったが,今後も引き続き事務事業の見直しなどを通じて経費の削減に努めていく。
ごみ処理やし尿処理,消防業務を一部事務組合で担っていることにより類似団体平均を下回っているが,人口一人当たりの決算額としては前年度と比較して16,506円増となった。衛生組合及び塵芥処理組合において基幹的設備改良工事等を行ったことが増加の要因として挙げられる。今後も,物件費をはじめとする経費の削減に努めていく。
令和2年度は,前年度と比べ0.9ポイント増,類似団体平均を1.1ポイント上回り,全国的平均よりも高い水準となった。今後も,行財政改革行動計画に基づき,職階や給与体系等の見直しなども含め,引き続き給与の適正化に努める。
令和2年度は,前年度と比べ一般職員数は同じであるが,町の人口が減少したため,人口1,000人当たり職員数は,前年度よりも0.12人増となり,類似団体平均と比較しても,0.38ポイント高い水準となった。職務量は増加傾向にあるが,組織や事務事業の見直しと併せて,職員定数条例に基づいた適切な定員管理に努める。
平成28年度借入の学校教育施設の元金償還が始まったが,減税補てん債や臨時財政対策債の償還終了,利根地区土地改良事業負担金の一部支払い終了等による減などにより,前年度と同水準となった。類似団体平均を下回って1.8%となっている。近年の実質公債費比率は,低水準で推移しているが,今後,小中学校大規模改造工事債や過疎対策事業債の元金償還開始等により元利償還金が増加に転じる可能性もあるため,引き続き適正な起債管理に努めていく。
過疎対策事業債等の起債による地方債残高の増などにより将来負担額は前年度よりも増となったが,充当可能財源等についても財政調整基金の残高増等により増え,将来負担額よりも充当可能財源等が上回ったため,前年度と同様に将来負担比率は算定されなかった。平成29年度から過疎地域に指定されたことにより,過疎対策事業債の発行による地方債残高の増加が見込まれるが,適正な起債管理や充当可能基金への積立等による適正な基金管理を行い,財政健全化に取り組んでいく。
人件費については,前年度と比べ1.7ポイント減となったが,依然として類似団体平均と比較して高い水準にある。これは,職員の平均年齢が高いことが影響しているものと考えられる。今後も退職者の再任用での登用が見込まれることから,正職員や会計年度任用職員も含めた適正な人員管理に努めていく。
物件費については,前年度と比べ0.9ポイント減となり,類似団体平均と比較して2.1ポイント低い水準となっている。令和2年度から施行している新行財政改革行動計画に基づき,今後も,引き続き徹底した経常経費の見直しを行い,物件費の削減に努めていく。
扶助費については,前年度と比べ0.9ポイント減となったが,類似団体平均と比較して0.1ポイント高い水準となっている。障害者自立支援給付費や障害児施設措置費給付費などの障害者に係る給付費が増加した影響で増となった。扶助費は社会保障にかかわる費用であり,高齢化の進行により今後増大していくことが見込まれるが,国や県との制度内容との整合を図りながら,適正な執行に努めていく。
繰出金については,前年度と比べ1.9ポイント減となったが,類似団体平均と比較して1.4ポイント高い水準となった。高齢化による給付の増加により,介護保険特別会計及び後期高齢者医療特別会計における繰出金が大きく増加している。より一層の使用料・保険料の徴収強化や歳出削減に向けた取り組みに努めていく。
補助費等については,前年度と比べ0.3ポイント増となったが,類似団体平均と比較して1.6ポイント低い水準となった。要因としては,塵芥処理組合負担金及び土地改良事業負担金が増となったことが挙げられる。今後も,各種補助金等の必要性を検証し,補助費等の抑制に努めていく。
公債費については,前年度と比べ0.2ポイント減となり,類似団体平均と比較して5.8ポイント低い水準を維持している。要因としては,減税補てん債や臨時財政対策債の償還終了が挙げられる。ただし今後は,小中学校大規模改造工事事業債や過疎対策事業債の元金償還開始により公債費が増加に転じる可能性もある。普通建設事業の必要性や費用対効果等を十分考慮し,適正な起債管理に努めていく。
公債費以外の経常収支比率については,前年度と比べ5.1ポイント減となったが,類似団体平均と比較して4.2ポイント高い水準となった。稲敷地方広域市町村圏事務組合負担金や,介護保険特別会計及び後期高齢者医療特別会計への繰出金が増となったことが主な要因である。今後は,経常経費に占める割合の高い人件費や繰出金を中心に改善を図るなど,経常経費の削減に努めていく。
(増減理由)・減債基金については,起債償還財源に充当するための繰入などにより47百万円の減。・財政調整基金については,会計年度任用職員制度移行に伴う単価増への対応等による取り崩しなどにより27百万円の減。・その他特定目的基金については,公共公益施設整備基金について,庁舎大規模改修に備える積立により200百万円の増,がんばる利根町応援基金について,ふるさと納税寄附金の積立により20百万円の増となった一方,都市計画事業基金について,雨水路改築工事充当により30百万円の減。・基金全体としては115百万円の増となった。(今後の方針)・過疎対策事業債を有効的に活用することにより,財政調整基金の取り崩しに頼らない財政運営を目指す。また,特定目的基金については,特に役場庁舎の大規模改造工事に備え,利根町公共公益施設整備基金への積立を計画的に行っていく必要がある。
(増減理由)・基金の積立額が前年度よりも増加したものの,会計年度任用職員制度移行に伴う単価増への対応等による基金の取崩額が前年度よりも大幅に増加したことから,基金残高は27百万円減少した。(今後の方針)・予算編成上,過去の実績を踏まえ,1,000百万円前後を維持するようにしたい。
(増減理由)・基金の積立額が前年度よりも減少し,起債償還財源に充てるための繰入等による基金の取崩額も減少したことから,基金残高としては47百万円減少した。(今後の方針)・決算余剰金について,過度に財政調整基金に積立を行わないようにし,将来の償還に備えて減債基金への積立を計画的に行っていきたい。
(基金の使途)・利根町都市計画事業基金:都市計画税のうち,下水道事業起債償還額を差し引いた分について積立を行い,都市計画事業に充当する。・がんばる利根町応援基金:ふるさと納税寄附金について基金に積立を行い,寄附金事業の目的に合った町の事業等に充当する。・利根町公共公益施設整備基金:利根町内の公共施設整備に係る事業に充当する。(増減理由)・利根町都市計画事業基金:下水道事業会計における雨水路改築実施設計業務委託に充てるため,49百万円の取り崩しを行うとともに,都市計画税のうち,下水道事業起債償還額に充当した額を差し引いた19百万円について積立を行った結果,基金残高としては30百万円減少した。・がんばる利根町応援基金:各課該当する事業に充当するとともに,がんばる利根町応援寄附金(ふるさと納税)の歳入が20百万円あったことにより,基金残高としても20百万円増加した。・利根町公共公益施設整備基金:庁舎大規模改修に備えて200百万円積立し,基金残高としても200百万円増加した。(今後の方針)・町役場庁舎が築30年を超えており,今後大規模な改修が必要となる見込みとなっている。起債の対象外にもなっていることから,今後も利根町公共公益施設整備基金への積立を計画的に行っていく必要がある。
令和2年度決算における有形固定資産減価償却率は62.4%で,令和元年度決算の60.7%と比較すると1.7ポイント増加した。類似団体平均値と比較しても若干比率が上回っている。令和2年度は,文化センターの舞台吊物更新工事や道路修繕工事および道路改良工事,雨水路改築工事等を行ったものの,施設への新規投資よりも減価償却による価値の減少分が上回ったため,比率が上昇したと考えられる。町の財政状況も踏まえながら,策定予定となっている「個別施設計画」に基づく計画的な修繕・更新を行っていく必要がある。
令和2年度決算における債務償還比率は367.1%で,令和元年度決算の457.4%と比較すると90.3ポイント減少した。過疎対策事業債の発行額増等による地方債現在高増等により,比率を算出する際の分子の額も増加したが,分母となる経常一般財源の増加幅や経常経費に充当した一般財源の額の減少幅も大きく,分子以上に分母が増加したため,結果として比率が減少した。依然として,類似団体平均・全国平均・県内平均と比較すると低い水準にあるものの,今後も,公共資産投資と公債残高のバランスを考慮し,将来世代への負担の先送りが顕著とならないよう安定的な財政運営を検討していくことが必要である。
将来負担比率については,地方債残高や公債費に準ずる債務負担行為に基づく支出予定額などの将来負担額よりも,将来負担する実質的な負債の返済に充てることができる基金残高や地方債残高等に係る交付税措置見込額などの充当可能財源額等が上回ったため,比率が算定されていない。有形固定資産減価償却率については比率の上昇が続いているため,町の財政状況も踏まえながら,策定予定となっている「個別施設計画」に基づく計画的な修繕・更新を行っていく必要がある。
将来負担比率については,将来負担額よりも充当可能財源額等が上回ったため,比率が算定されていない。実質公債費比率については減少傾向にあり,類似団体平均値と比較しても低い水準を維持しているが,今後は,平成29年度から借入を行っている過疎対策事業債等の元金償還が開始され,比率の上昇も予想されることから,引き続き適正な起債管理に努めていく。
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