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人口の減少や全国平均を上回る高齢化率(令和4年度末45.50%)に加え,町内に中心となる産業がないこと等により,財政基盤が弱く,類似団体平均を下回る状況が続いている。今後,数値の大幅な改善を見込むことは難しい状況にあるが,人口減少対策に関する施策と,引き続き徹底した歳出の見直しを行うとともに自主財源の確保に努め,安定的な財政基盤の確立に努めていく。
分子である経常経費充当一般財源については,退職者の増加に伴う退職手当組合負担金の増や燃料費の高騰による物件費の増加や,臨時財政対策債の元金償還金の増や過疎対策事業債の元金償還開始となったことによる公債費の増などにより増加し,分母である経常一般財源については,地方税が前年度と比較して6百万円減少したことや,臨時財政対策債が前年度と比較し150百万円減少したことにより,前年度と比較して経常収支比率は上昇した。
ごみ処理やし尿処理,消防業務を一部事務組合で担っていることにより類似団体平均を下回っているが,人件費・物件費のいずれも決算額としては増加しており,人口も減少していることから,人口一人当たりの決算額としては前年度と比較して3,707円増となった。人件費については職員数の増加による職員給与費の増加,退職手当引当金繰入額の増加,物件費等については主にシステム改修業務委託の増加や物価高騰による燃料費の増加により増加した。今後も,物件費をはじめとする経費の削減に努めていく。
令和4年度のラスパイレス指数は,前年度と比べ0.1ポイント増加し,類似団体平均1.3ポイント上回る水準となった。今後も,行財政改革行動計画に基づき,職階や給与体系等の見直しなども含め,引き続き給与の適正化に努めていく。
令和4年度は前年度と比べ,一般職員数は同じであるが,町の人口が減少したため,人口1,000人当たり職員数は,前年度よりも0.09人増となった。今後も組織や事務事業の見直しと併せて,職員定数条例に基づいた適切な定員管理に努めていく。
利根地区土地改良事業負担金の一部償還終了等による債務負担行為に基づく支出予定額が減少したものの,過疎対策事業債の増により元利償還金の額が増加したため,分子は増加し,臨時財政対策債発行可能額が大幅に減少したため,分母は減少し,比率としては0.2ポイント改善した。近年の実質公債費比率は,年々減少している傾向にあるが,今後,過疎対策事業債の元金償還が順次開始していくこと等により元利償還金が増加に転じる可能性もあるため,引き続き適正な起債管理に努めていく。
過疎対策事業債の起債による地方債の現在高の増などにより将来負担額は前年度よりも増となったが,充当可能財源等についても公共公益施設維持整備基金の残高増等により増え,将来負担額よりも充当可能財源等が上回ったため,前年度と同様に将来負担比率は算定されなかった。平成29年度から過疎地域に指定されたことにより,過疎対策事業債の発行による地方債残高の増加が見込まれるが,適正な起債管理や充当可能基金への積立等による適正な基金管理を行い,財政健全化に取り組んでいく。
人件費については,前年度と同額となったが,経常経費充当一般財源は増加となり,経常一般財源がそれ以上に減少したため,比率としては増加した。依然として類似団体平均と比較すると高い水準が続いており,今後も退職者の再任用での登用が見込まれることから,正職員や会計年度任用職員も含めた適正な人員管理に努めていく。
物件費については,主にシステム改修業務委託の増加や物価高騰による燃料費の増加等により経常経費充当一般財源が増加となり,経常一般財源は減少となったため,比率としては増加したが,類似団体平均と比較すると低い水準を維持している。今後も,引き続き徹底した経常経費の見直しを行い,物件費の削減に努めていく。
扶助費については,前年度と比較して0.2ポイント増となったが,類似団体平均との比較においては0.3ポイント低い水準となっている。扶助費の経常経費充当一般財源は微減となったものの,経常一般財源がそれ以上に減少したため,比率としては増加した。扶助費は社会保障にかかわる費用であり,今後増大していくことが見込まれるため,国や県との制度内容との整合を図りながら,適正な執行に努めていく。
その他に係る経常収支比率が類似団体平均を上回っているのは,被保険者数増に伴い後期高齢者医療特別会計繰出金が増加したことや,要介護認定者数増に伴い介護保険特別会計繰出金が増加したことにより経常経費充当一般財源が増となったことによるものである。高齢化に伴いさらなる給付費の増が見込まれるため,より一層の使用料・保険料の徴収強化や歳出削減に向けた取り組みに努めていく。
補助費等については,前年度と比較して0.5ポイント減となり,類似団体平均と比較して,1.2ポイント低い水準となった。稲敷地方広域市町村圏事務組合に対する負担金が減となったが,経常経費充当一般財源が増加となり,経常一般財源は減少となったため,比率としては減少した。今後も,各種補助金等の必要性を検証し,補助費等の抑制に努めていく。
公債費については,前年度と比較して1.1ポイント増となったが,類似団体平均との比較においては5.8ポイント低い水準を維持している。過疎対策事業債の元金償還が始まったことにより29百万円増加した。今後も,過疎対策事業債の元金償還が順次開始することにより公債費が増加していくため,普通建設事業の必要性や費用対効果等を十分考慮し,適正な起債管理に努めていく。
公債費以外の経常収支比率は前年度と比較して4.6ポイント増となった。物件費や繰出金の増により,経常経費充当一般財源が増となり,臨時財政対策債の大幅減等により経常一般財源が減少したため,比率としては増加した。類似団体平均と比較すると依然として高い水準であるため,経常経費に占める割合の高い人件費を中心に改善を図るなど,経常経費の削減に努めていく。
(増減理由)・減債基金について,将来の償還に備えての積立を103百万円行ったことにより,基金残高は100百万円増加した。・その他特定目的基金については,公共公益施設維持整備基金について,庁舎大規模改修に備える積立により189百万円の増,がんばる利根町応援基金について,ふるさと納税寄附金の積立等により27百万円の増,利根町営霊園事業特別会計財政調整基金について,工事費に充当により取り崩しを行ったため,25百万円減少した。・基金全体としては146百万円の増となった。(今後の方針)・過疎対策事業債を有効的に活用することにより,財政調整基金の取り崩しに頼らない財政運営を目指す。また,特定目的基金については,特に役場庁舎の大規模改修工事や公共施設の改修工事に備え,利根町公共公益施設維持整備基金への積立を計画的に行っていく必要がある。
(増減理由)・令和4年度については,将来の償還に備えた減債基金への積立や,将来の町内施設整備に備えた特定目的基金への積立を行ったことにより,財政調整基金の残高は144百万円減少した。(今後の方針)・将来の償還に備えた減債基金への積立や,将来の町の事業を円滑に進めるための特定目的基金への積立も適宜行っていく必要があるものの,景気の急激な変動等による歳入の下振れや,災害への備え等を含め,適切な予算編成をを行っていくためにも,財政調整基金については700百万円前後の残高維持を目指したい。
(増減理由)・起債償還に充てるため,3百万円の取り崩しを行った一方,将来の償還に備えての積立を103百万円行ったことにより,基金残高は100百万円増加した。(今後の方針)・今後,過疎対策事業債の元金償還が順次始まっていくことから,将来の償還に備えて減債基金への積立を計画的に行っていきたい。
(基金の使途)・利根町公共公益施設維持整備基金:利根町内の公共施設維持整備に係る事業に充当する。・利根町義務教育施設整備基金:利根町内の義務教育施設整備に係る事業に充当する。・がんばる利根町応援基金:ふるさと納税寄附金について基金に積立を行い,寄附金事業の目的に合った町の事業等に充当する。(増減理由)・利根町公共公益施設維持整備基金:役場庁舎の大規模改修に備え,210百万円の積立を行った結果,基金残高も189百万円増加した。・がんばる利根町応援基金:各課該当する事業に充当するため,百万円の取り崩しを行った一方,がんばる利根町応援寄附金(ふるさと納税)の歳入が27百万円あったことにより,基金残高は27百万円増加した。・利根町営霊園事業特別会計財政調整基金:町営霊園舗装工事費に充てるため,26百万円の取り崩しを行ったため,基金残高は25百万円減少した。(今後の方針)・役場庁舎が築30年を超えており,令和5年度から令和6年度にかけて,大規模な改修を実施する予定となっている。また,その他の公共施設も老朽化が進んでおり,改修工事等が必要となってくるため,起債対象外経費に備え,今後も利根町公共公益施設維持整備基金への積立を計画的に行っていく必要がある。
令和3年度決算における有形固定資産減価償却率は64.3%で,令和2年度決算の62.4%と比較すると1.9ポイント増加した。類似団体平均値と比較しても若干比率が上回っている。令和3年度は,布川小学校駐車場及びバスロータリー整備工事や町営ドッグラン建設工事,道路修繕工事及び道路改良工事等を行ったものの,施設への新規投資よりも減価償却による価値の減少分が上回ったため,比率が上昇したと考えられる。町の財政状況も踏まえながら,策定されている「個別施設計画」に基づく計画的な修繕・更新を行っていく必要がある。
令和3年度決算における債務償還比率は265.6%で,令和2年度決算の367.1%と比較すると101.5ポイント減少した。一般財源及び経常経費に充当した一般財源の額の増等により,比率を算出する際の分母の額も増加したが,分子となる過疎対策事業債の発行額増等による地方債現在高増等により,分母以上に分子が増加したため,結果として比率が減少した。依然として,類似団体平均・全国平均・県内平均と比較すると低い水準にあるものの,今後も,公共資産投資と公債残高のバランスを考慮し,将来世代への負担の先送りが顕著とならないよう安定的な財政運営を検討していくことが必要である。
将来負担比率については,地方債残高や公債費に準ずる債務負担行為に基づく支出予定額などの将来負担額よりも,将来負担する実質的な負債の返済に充てることができる基金残高や地方債残高等に係る交付税措置見込額などの充当可能財源額等が上回ったため,比率が算定されていない。有形固定資産減価償却率は近年上昇傾向にあり,町の財政状況も踏まえながら,策定されている「個別施設計画」に基づく計画的な修繕・更新を行っていく必要がある。
将来負担比率については,将来負担額よりも充当可能財源額等が上回ったため,比率が算定されていない。実質公債費比率については減少傾向にあり,類似団体平均値と比較しても低い水準を維持しているが,今後は,平成29年度から借入を行っている過疎対策事業債等の元金償還が開始され,比率の上昇も予想されることから,引き続き適正な起債管理に努めていく。
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