経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率東日本大震災被災直後の平成23年度は約70%でしたが、平成24年度以降30~50%台で推移しています。地方債償還金を総収益で賄えない状況が続いています。④企業債残高対事業規模率営業収益は微増傾向にありますが、企業債残高の規模は、平成28年度で類似団体平均値の4倍以上と高い値となっています。⑤経費回収率平成24年度以降は、使用料収入が徐々に増加しており、経費回収率は上昇傾向にあります。平成27年度は、使用料収入は増加していますが、それ以上に施設管理費及び元利償還金が増加していることから、経費回収率が下降していましたが、平成28年度は再び上昇傾向となっています。⑥汚水処理原価平成28年度は、類似団体平均値の約2.4倍であり、約335円高くなっています。これは地方債償還金が年々増加し、汚水処理費を高くしていることによるものです。⑦施設利用率平成28年度は約57%です。平成25年度からは、1系列による処理から、供用区域拡大に伴う施設への流入水量増加に備え、2系列としたことから、施設利用率は低下しました。⑧水洗化率下水道整備に伴い、水洗便所設置済人口が増加していることから、水洗化率も増加傾向にあります。
老朽化の状況について
当市の公共下水道は、平成4年度に管渠の整備を始め、平成6年度から供用を開始しました。管渠については、耐用年数50年とされています。現在、管渠の改築、更新は行っていませんので、管渠改善率は0%です。耐用年数に対する残存期間は短いもので約25年ですので、更新投資・老朽化対策は、将来の課題です。なお、処理場については、主要な設備である機械・電気設備等の耐用年数は約20年です。建設から20年程度経過していますが、平成23年に津波被害を受けたことから、水処理の主な設備の大半は、災害復旧事業により更新しています。また、平成27年度及び平成28年度において、下水道長寿命化計画に基づき、汚泥処理設備及び水処理設備を更新しています。
全体総括
現在も下水道供用区域の拡大に向けて整備を進めており、下水道整備区域の拡大や住宅の更新等に伴い、水洗化率の向上と下水道使用料の増加が見込まれますが、下水道サービスを持続していくためには、企業債残高に留意したうえで、経費回収率や汚水処理原価の改善が必要となります。平成28年度において、中長期的な視野に基づく計画的な経営に取り組むため、経営戦略を策定したところであり、その中で、今後は、近接している漁業集落排水事業との事業統合、民間の資金やノウハウを活用し、適正かつ効率的な施設整備と維持管理を図り費用の圧縮を図るとともに、適正な使用料水準の検証・検討に努め、経営基盤の強化を図ることとしています。