地域において担っている役割
地域で唯一の中核公的病院として、民間の医療機関では担うことが困難である不採算・特殊部門に係る医療や高度・先進医療を提供するため「へき地医療拠点病院」「救急告示病院」「地域周産期母子医療センター」「災害拠点病院」「地域がん診療連携拠点病院」などの各種指定を受けるとともに、「地域医療支援病院」として地域の医療機関の後方支援病院としての役割を果たしている。また、救急医療に関しては、医師会と協力して、重症な患者の受入れを優先的に行うなど地域での機能分化を進めている。
経営の健全性・効率性について
収益の状況を示す指標である「経常収支比率」及び「医業収益比率」においては、大幅に平均値を上回るとともに、新公立病院改革ガイドラインにおいて求められている経常収支比率100%以上も維持している。さらに、病床利用率、患者1人1日当たりの平均単価(入院及び外来)についても平均値を大きく上回る状況であり、収益性を高める要因となっている。医業収益に占める職員給与費の割合である「職員給与費対医業収益比率」についても、健全経営の目安である50%以下となっている。また、「材料費対医業収益比率」が近年上昇傾向にあるのは、類似病院に比べ、がんや心疾患の患者を多く診ているためであり、医業収益の向上にも繋がっており問題はないと考える。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」については、新病院建設後5年程度であり未償却残高も多いなか、平均値より低い値となっている。「器械備品減価償却率」については、新病院開院時に購入した医療機器の減価償却がほぼ終了したため平均値より高い値となっていると思われるが、機器の耐用年数的には問題なく、今後計画的に更新を行う予定である。「1床当たりの有形固定資産」については、平均値を若干超えたが、これはリハビリ棟や緩和ケア病棟の整備を行ったためである。
全体総括
当院は各種指定の状況や経常収支比率、病床利用率などの指標の面からも、類似病院と比較して良好な経営状態であることが判断できる。収益の面では、入院及び外来ともに患者単価は類似病院の平均値よりも高く、費用の面においても、最も大きな割合を占める人件費は適正な割合の範囲内で推移している。また、新棟増築の影響で器械備品減価償却率や有形固定資産の保有状況は類似平均を若干超えているものの、必要な病院機能を整備した結果であり、今後の収支への影響は懸念されるものの適切な会計処理に努めたい。以上のような内容から、当院は良好な経営状況を維持しつつ、地域の中核公的病院としての機能を十分果たせていると思われる。