地域において担っている役割
当院は荒尾市の唯一の急性期病院として、また有明地域の中核病院として地域完結型の医療を目指しています。県北唯一の国指定「地域がん診療連携拠点病院」を始め、県からは「脳卒中急性期拠点病院」「急性心筋梗塞拠点病院」などの指定を受けており、救急医療に積極的に取り組み、365日24時間体制で診療を行い、夜間の緊急手術や緊急カテーテル治療にも対応しています。新病院開院と同時に歯科口腔外科を新設し、また令和5年11月には全国でも稀な周産期医療体制を整えるなど医療の充実に努めています。屋上にヘリポートを有した建屋で最新の免振装置を備えています。加えて、災害拠点病院の指定も受けており、災害医療を行う医療機関等を支援する機能、災害派遣医療チームを有しています。
経営の健全性・効率性について
①②③上半期は一病棟を感染専用病棟として病床を確保していたこと、新病院移転・患者移送のために患者数を計画的に減少させていたことにより経常収支比率、医業収支比率ともに100%を下回っていますが、医業収支比率は類似団体を上回っています。④⑥⑦病床利用率及び外来単価は、類似団体を上回っています。また、職員給与比率は、類似団体と同等となっています。今後も高い利用率の中で良質な医療を継続して提供し続けなければならないと考えています。⑤入院単価に関しては、R4年度と比較して減少しているものの、近年は増加傾向にあります。類似病院及び全国平均と比べても下回っているため、更なる取組みが必要であると考えています。⑧材料費比率は、類似団体を上回っていますが、病院区分や機能(高度急性期、急性期、慢性期)によるものであり、近年は高額な新薬や材料が必要な患者さんの増加に伴うものと考えます。⑨累積欠損金はR3年度から2年間は解消していましたが、R5年度は新病院関連費用等により赤字決算となったことで発生しています。類似団体を下回っていますが、更なる経営健全化が必要であると考えています。
老朽化の状況について
当院は令和5年10月に新病院開院へ移転、運営を開始しております。既存病院建物の取壊しに伴う除却により有形固形資産減価償却率は類似団体を大幅に下回っております。多額の医療機器購入により、一床当たり有形固定資産の額も類似団体を大幅に上回っています。また、器械備品減価償却率に関しては、中長期での医療機器、一般機器更新計画に沿って最先端の機器を更新しておりますが、新病院移転に伴う除却により類似団体より下回った結果となったと考えています。
全体総括
当院の令和5年度の経営状況は、類似団体と比較して総合的に判断しますと、厳しい経営状況にあると考えます。近年の経営状況として、第一期及び第二期中期経営計画に基づき経営改善を図ってきたこともあり、平成21年度以降14年連続で黒字(平成26年度の会計制度変更時は除く)計上することができていましたが、令和5年度は新病院関連費用等により赤字決算となっています。今後は、新病院建設に伴う減価償却費等の影響により収支状況が厳しくなっていきますが、第三期中期経営計画を基に地域完結型医療体制の維持し、収益の確保と費用の削減を徹底し、経営健全化に努めていきます。