地域において担っている役割
急性期医療を担う地域の中核病院として,診療科目16科,病床数200床の規模で,指定管理者制度(利用料金制)のもと運営を行っています。令和3年度も,引き続き新型コロナウイルス感染症への対応に注力し,専用病床を46床まで拡大し,自宅療養中に症状が悪化した感染者に酸素投与を実施する夜間救急外来を実施しました。このほか,発熱外来の実施や,新型コロナワクチンの予防接種を,院内のほか,教職員や受験生を対象に市内中学校で実施するなどして,地域医療の充実に取り組みました。
経営の健全性・効率性について
前年に引き続き,新型コロナウイルス感染症流行の影響により,感染した患者の入院診療の実施に伴い一般入院の制限等を実施した結果,病床利用率は51.0%と更に減少しました。また,医業収支比率は91.1%と昨年とほぼ横ばいで,感染症による減収が続いています。費用面においては,職員給与費が年々増加傾向にありますが,過去5年間,累積欠損金の発生は無く,経常収支比率は感染症対応に関する補助金収入などにより,100%以上を維持しています。
老朽化の状況について
建物及び設備は,国からの有償払下げを受けた旧国立病院時代のものを使用しており,築45年を経過しているため,老朽化が著しい状況です。これまで,レイアウト変更や改修工事を行っていますが,大型化が進む現在の医療機器の設置が難しく,医療環境への対応が困難な状況です。その結果,固定資産全体の償却率は経過年数に伴い増加し,器械備品の多くは法定耐用年数を超過しています。こうした中,今後も病院としての機能・役割を果たすためにも,建替えの必要があるとされてきましたが,令和3年度に現地での建替えを表明しました。
全体総括
令和3年度も引き続き,新型コロナウイルス感染症重点医療機関として,一部の病床を休床し,感染者の入院診療を行った結果,医業収益が減少し,医業収支比率は100%を下回りましたが,新型コロナウイルス感染症に関する補助金収入により,経常収支比率は100%以上を確保することができました。今後も感染症対応が求められますが,病院を安定的に継続して運営するためには,経営力を強化し,安定した経営基盤を確立する必要があります。引き続き,救急患者の積極的受入れや,地域の医療機関との連携強化による紹介・逆紹介の推進,病床利用率の向上,費用抑制等に取組むなど,より一層の経営改善に努めます。