地域において担っている役割
地域において、良質で高度な二次医療の提供、救急医療体制の確保に重点を置き、地域の医療機関との機能分担、機能連携の強化及び充実に努めている。小児二次救急では、「小児救急医療センター」を設置し、24時間365日の受入体制を整備している。なお、時間外救急では、伊賀地域で名張市立病院を含む3つの基幹病院で輪番制救急医療体制を構築し、令和3年度はその約40%を当院が担当している。また、新型コロナウイルス感染症の対応についても、公立病院の役目として積極的な受入を行っている。
経営の健全性・効率性について
「医業収支比率」は前年度と比較し、3.5ポイントの改善となっているが、救急医療確保に要する他会計負担金増の影響によるものである。「病床利用率」は前年度と比較し、1.9ポイント低下している。前年度に続き、コロナ患者の受入による入院制限が影響しているものと考える。加えて、「職員給与費対医業収益比率」については、医業収益の増額により前年度と比較し、3.7ポイント改善している。今後、コロナ禍ではあるものの、令和2年に開設した地域包括ケア病床の効率的な運営のほか、更なる診療単価の向上を目指し、医業収益の増額に繋げる。
老朽化の状況について
開院から25年となり、医療機器及び施設の老朽化が進んでいることから「有形固定資産減価償却率」は平均値を大きく上回った。今後、施設等の「更新計画書」を作成し、計画的、効率的に更新・修繕に取り組む。「1床当たり有形固定資産」は平均値を上回っている。主に病院施設(建物)にかかる帳簿原価が高額であることが要因である。
全体総括
当院の経営状況は、個々の指標にもあるようにまだまだ不安定であるが、地域における救急医療、急性期・高度医療を担う中核病院の機能及び伊賀地域において不足している回復期医療を担う病院の機能を果たすとともに公営企業として自立・継続可能な病院となるよう努める。加えて、新型コロナウイルス感染症の収束の目途がたたない中ではあるが、適切な感染症対策を講じ、病院機能の継続が可能となるよう、より尽力する。また、在り方検討員会の答申をもとに病院の経営について見直しを図る。