地域において担っている役割
・地域医療の中核を担う医療機関として、多様な地域医療ニーズに対応しながら救急・急性期医療から回復期まで幅広く医療を提供する。・災害拠点病院として、災害時に地域住民を守るため、備蓄を常備し訓練による体制強化を図る。・地域医療支援病院として、地域の医療機関と密接な連携を図り、地域完結を目指した質の高いサービスを提供する。・感染症指定医療機関として、感染症病床等のハード面および訓練された職員等のソフト面を充実させる。特に新型コロナウイルス感染症への対応については、地域の最前線にて病床確保や患者受入れ等の役割を担う。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保により病床利用率は落ち込んだが、少ない病床数でより多くの患者受入れをできるよう、ベッドコントロールに注力した。その結果、平均在院日数が短縮し入院診療単価の上昇に繋がり、入院総収益を前年度より増加させることができた。また、外来においては積極的な発熱外来運営を行なったことにより受診患者数が増加し、外来延患者数および外来診療単価ともに前年度より増加した。病床利用率の減少については補助金により補填され、経常収支比率は対前年度比2.5ポイント増の102.5%とすることができた。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、平成26年に増築した新館が含まれることもあり48.3%となっている。当院本館は建築後20年を超えており、老朽化に伴う電気・電源設備や空調設備等の大型更新を全体的に要する状況である。令和3年度は手術室をはじめとする5系統のエアコン更新工事、OAダクト工事、電源増設工事、発電機コントローラ交換等の工事を行なった。更新計画は診療機能を維持するための重要度・優先度を考慮して中長期的に策定しているが、不安定な物流や部品の価格高騰等により、計画通りに更新を進められていないのが実態である。このような状況に伴い、病院改良費の予算額も増加傾向にある。
全体総括
前年度に続き、新型コロナウイルス感染症への対応が最重要課題となった1年であった。確保病床数も県からの要請に応じ、12月に12床を15床へ増床して受入対応にあたった。病床確保を行なうにあたり、1病棟の大半が使用できなくなることから入院収益が大幅に減少し、それを補助金で補填するという収支の内訳は前年度と同様であった。しかし、発熱外来の運営については地域の開業医から1月あたり約300件の紹介を受け、その対応に尽力したことから、地域医療の中核を担うという責務は果たせたと評価している。今後の大きな課題は、病床確保が解除された後、病床利用率をどのようにして迅速に回復させるかであり、コロナ禍である現段階から戦略を立てておく必要があると考えている。