地域において担っている役割
地域の中核病院として急性期医療や小児を含めた救急疾患に対応しており、独立型の緩和ケア病棟も有しています。また、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域の高齢者等の在宅患者が肺炎や骨折など、急変時の緊急入院に対応するための地域包括ケア病棟50床を運用しております。令和2年4月からは、地域包括ケアシステムの構築に、より一層貢献するため、訪問看護ステーションを開設しました。さらに小児アレルギーセンターを開設し、地域のみならず県全域で年々増加している小児アレルギー疾患にも対応しております。
経営の健全性・効率性について
経常収支で過去7年連続での黒字を確保しており、平成5年の開院以来累積していた欠損金も平成27年度に解消し現在に至ります。本院は診療科が比較的少なく、医師数も近年減少傾向にあることから病床利用率は低めで、また、年度ごとの跛行性がみられます。令和2年・3年度の病床利用率の低下については、新型コロナウイス感染症確定患者受け入れのため1病棟閉鎖し、その専用病床としたことから空き病床が発生したことによるものと考えられます。診療科の特性により、類似病院と比較して入院患者の診療単価が低めであるが、その一方材料費の医業収益に対する割合も低くなっています。さらに令和2年・3年度は新型コロナウイルス感染症の影響による医業収益の減少により職員給与費の比率の高さが顕著となっております。
老朽化の状況について
施設の老朽化が進み、また、医療備品についても耐用年数を超過して使用しているものが多く、有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率も類似病院を上回り、また、1床当たり有形固定資産については診療科の特徴もあり、高額な医療機器が少ないため類似病院を下回っている状況となります。
全体総括
地域の急性期医療、救急疾患に対応しつつ、急性期を経過したリハビリを要する回復期の患者や緊急入院を要する在宅患者を受け入れる地域包括ケア病棟を開設しており、地域の中核病院としての役割を担っております。地域包括ケア病棟と訪問看護ステーションを両軸として、地域包括ケアシステムを支える面倒見のいい病院を、さらに小児アレルギーにおいては奈良県の小児アレルギー診療の拠点病院を目指します。経営状況については、近年黒字を確保し累積欠損金も解消したことから、病床利用率はやや低いがコンパクトな規模で効率的に運営できております。減価償却率が高くなってきており老朽化が進んできているので、現在、施設、器械備品を計画的に更新しているところです。