地域において担っている役割
令和3年10月に病院を新築移転した際に、地域医療構想でも指摘されている、地域での回復期病床の不足に対し、療養病床を回復期病床へと区分変更した。これにより、より多くの在宅復帰可能な患者の受入が可能となった。外来機能においては、地域では脆弱と言われている小児科を常勤化することができた。救急医療に関しては内科系及び外科系2名の365日当直体制を維持し、地域住民に安心安全な医療を提供した。在宅支援に関しては、引き続き、訪問看護ステーション、介護老人保健施設及び居宅支援事業所で対応を行った。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率においては、新病院へ移転したことによる減価償却費の増加に伴う支出増が影響している。迅速なPCR検査の実施による円滑な入院患者の受入を実施し、医業収支比率及び病床利用率においては平均以上となっている。当院は、高度急性期病院ではなくケアミックスであり、リハビリや介護などの人員で収入を担っているため、入院患者1人1日当たり収益及び材料費対医業収益比率は平均値を下回っている。外来患者1人1日当たり収益は、院外処方としたことで薬品費が減少し平均値以下となった。
老朽化の状況について
令和3年10月に病院を新築したことにより、未償却資産が増加し有形固定資産減価償却率が減少している。また、新築した際に医療機器を新たに整備したことにより、未償却資産が増加し器機備品減価償却率は平均値以下となっている。1床当たり有形固定資産は、新病院建設及び医療機器整備により、令和2年度に比べ大幅に増加した。
全体総括
令和3年度も新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、感染拡大時には入院制限や外来患者の受診抑制などもあり非常に厳しい経営状況となった。また、新病院への移転もあり減価償却費の増加に伴う支出増も経営状況が厳しくなった要因と言える。だが、地域医療構想に則り新病院移転時に、病床区分変更や新型コロナウイルス感染症患者の受入などを実施し、新病院移転後の12月ごろより、入院患者数は増加し病床利用率及び医業収益が向上した。今後の課題として、救急医療の充実、脳血管疾患及び虚血性心疾患の受入れ体制の整備があげられる。