地域において担っている役割
津軽地域医療圏東部の基幹病院として、365日24時間の二次救急医療を提供し、年間約5,000件の救急患者を受け入れている。また基幹型臨床研修病院として、初期研修医の受け入れ及び育成を行っている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率は新型コロナウイルス感染症患者の院内発生に伴う新規入院患者の受入制限などの影響により、前年度からさらに低下した。新型コロナウイルス感染症入院患者病床確保補助金の活用により経常収支比率が著しく改善する病院が多い中、当院はその他急性期患者の受入病床確保の観点から病棟単位での新型コロナ患者受入体制の構築が難しく、全国平均を下回る結果となった。医業収支比率はほぼ横ばいで、類似病院平均及び全国平均よりも高い水準であったが、前年度よりもわずかに悪化したため、累積欠損金比率が上昇した。費用面については、職員給与費対医業収益比率が若干上昇したが、患者数の減少に伴い材料費が減少したため、材料費対医業収益比率は低下した。ともに類似病院平均値に比べ低い水準となっている。
老朽化の状況について
有形固定資産及び器械備品の減価償却率が共に類似病院平均及び全国平均より高い水準のままである。経営状況の悪化により必要最低限の設備更新に止めざるを得ないため、施設・設備・医療機器更新が進んでいない状況となっている。劇的な改善は難しいが、今後も計画的に設備更新を進めていきたい。
全体総括
当院では、青森県地域医療構想によって津軽地域の自治体病院においては病床規模の縮小、回復期・慢性期への機能分化等が、具体的な方向性として示されたことも踏まえ、急性期病床の削減、地域包括ケア病棟への機能転換を既に行っている。今後も地域での当院の立場、重要性は変わらないため、これまでどおり急性期医療の提供は継続しながら、地域包括ケア病棟の回復期としての運用も視野に入れ、病床利用率の改善及び医業収支比率100%を目指していく。また、一般会計繰入金の確保に努め、安定的に経常黒字を実現できる経営体制の構築を図っていく。