地域において担っている役割
地域の中核的病院として、二次救急医療及び手術や急性期の入院・治療を行う一般急性期医療を主体とした機能の充実を図りながら、近隣の高度急性期医療を行う医療機関と円滑な連携・協力体制を構築している。一方で、急性期を経過した患者については、回復期及び慢性期医療を担う他の市立病院にスムーズな転院により継続した医療が提供できる体制をとることで、地域密着型の病院としての役割を担っている。また、災害拠点病院として、災害時には各市立病院・診療所と連携して被災患者を受け入れる体制整備を進めている。
経営の健全性・効率性について
①外来患者数が減少したことで外来収益は減少したが、入院患者が増加したことで医業収益は増加した。一方で、国・県補助金等が大幅に減少したことで、医業外収益が減り、前年度から大きく低下したものの全国平均は上回る100.6%となった。②給与費をはじめとする医業費用の増加により、前年度から低下し全国平均を下回る86.2%となった。③給与費などの医業費用が増加したが、繰入金以外の医業収益が伸び悩んだため、類似病院平均値より低い76.7%となった。④新型コロナウイルス感染症対応病床を縮小し、通常の患者の受入れを拡大したため、前年度を上回る76.0%となった。⑤再開したリハビリテーションの増加などにより収益が増加し、類似病院平均値を上回った。⑥感染症検査などが減少し、前年度を下回った。⑦給与改定により職員給与費が増加し、前年度を上回った。⑧入院患者の増加等に伴って材料費が増加したため、前年度を上回る12.7%となったが、類似病院平均値よりも低い水準で推移している。⑨純利益が発生したため前年度より減少したが、類似病院平均値よりも高い状況が続いている。
老朽化の状況について
①類似病院平均値を上回っており、増加傾向が続いていることから、施設の老朽化がさらに進んでいる。引き続き、医療提供体制の見直しを行いながら、改築や新築移転を含めた施設整備の検討を進めていく。②昨年度から大きく増加し、類似病院平均値を上回ったことから、老朽化が進んでいる。今後は、医療機器の計画的な整備に努めていく。③医療機器、電子カルテシステム等の更新により有形固定資産が増加している一方、令和元年11月に病床数をダウンサイジングしたことにより、令和元年度以降、類似病院平均値を上回っている。今後は過大投資とならないように、事業全体の再編・ネットワーク化を図っていく。
全体総括
診療報酬における加算の施設基準を維持し、診療単価の増加を図る等の経営改善に努めたほか、新型コロナウイルス感染症が5月から5類感染症へ移行したことに伴い、新型コロナウイルス感染症対応病床としていた回復期リハビリテーション病棟の受入れを順次再開しことなどから医業収益が増加したが、給与費をはじめとした費用の増加や新型コロナウイルス感染症対応に係る国・県補助金が大幅に減少したことで、純利益の金額は前年度から縮小した。それでも、4年連続で純利益は発生したが、依然として多額の累積欠損金が発生しており、経営状況は厳しい状況である。令和6年3月に改定した「登米市病院事業中長期計画」に沿って、今後も経営改善に取り組んでいく。