地域において担っている役割
雲南二次医療圏において1次・2次救急医療を担いながら、入院では急性期・回復期・慢性期の病床を備えたケアミックス病院として、地域住民へ安心安全な医療が提供できるよう充実を図っている。また、訪問看護や訪問診療などの在宅医療も手掛け、圏域の地域包括ケアの中心的役割を担っている。平成30年3月に竣工した新本館棟は、雲南市唯一の免震構造であり、災害発生時には災害拠点病院としての機能を発揮し、安定した医療提供を担う役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、収益は対前年度比で25百万円の増となったが、平成30年3月に竣工した新本館棟に係る減価償却費の大幅な負担増により、医業収支比率は悪化した。内部留保資金に関しては、平成30年度で2,352万円蓄積し、繰越内部留保資金は15億2,647万円となり、健全な経営基盤の持続を図っている。入院・外来ともに1人1日当たりの収益は類似病院の平均値を下回っているが、病床利用率は平均値を大きく上回っている。また、職員給与費、材料費の対医業収益比率についても類似病院の平均値を下回っており、引き続き費用の削減に努めていく。
老朽化の状況について
平成30年3月に新本館棟が竣工し、診療機能は新本館棟へ移転した。平成30年度は新管理棟(旧東棟)の改修、旧本館棟(西棟)の解体工事を行い、更に医療機器の更新も行った。そのため、平成29年度以降、有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率ともに類似病院平均値を大きく下回っているが、1床当たりの有形固定資産額については、平均値を下回ってはいるものの向上した。今後は、旧本館棟解体跡地の駐車場整備や外構工事などを行い、平成31年9月末をもって全ての建設工事を終え、グランドオープンを無事に迎えられるよう目指していく。
全体総括
平成24年度から5年連続で経常損益は黒字を達成していたが、平成29年度の新本館棟竣工による費用の増等により、経常損益は赤字に転じた。今後も減価償却費の負担増などから経常損益の黒字化は厳しいものと考える。そのため、平成30年度より剰余金計上から欠損金計上に転じ、今後も累積欠損金は増えていく傾向にあるが、今後はキャッシュフローを重視した経営に取組み、内部留保資金の維持に努めていく。重視している内部留保資金は、経常損益が赤字の状況の中、毎期蓄積が図られ、相応な企業体力は有していると考えており、企業債借入金償還の負担増による資金繰りの悪化が今後懸念されるが、それに耐え得る経営基盤の確立は行っている。