地域において担っている役割
・市内唯一の高度急性期及び急性期病床を有する病院として急性期医療を担います。・24時間365日の第2次救急医療の実施及び市内で不足している初期救急の支援を行います。・災害時は災害医療救護活動拠点施設機能を発揮し、地域の災害医療体制を構築します。・地域医療支援病院として地域医師会との合同研修や医療機器等の共同利用等を通じ、地域全体の医療の質の向上を目指し、地域医療の充実と安定を図ってまいります。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、類似団体平均とほぼ同水準にあり、また累積欠損金比率についても低い数値で推移していることから、経営状況は比較的健全であるといえます。今後は、一般会計からの適切な負担を確保することで経営の安定化を図ってまいります。経常収支比率の減少は、常勤の脳外科医師が年度途中まで確保できなかったため脳血管疾患関係収益が減となったことによる経常収益の減によるものです。医業収支比率は、指定管理者側の決算では89.8%となっており医業活動による経営は健全であります。また、病床利用率についても経営形態見直しの基準となる70%未満を超えており、効率的な経営がされています。入院患者1人1日当たり収益は、類似団体平均を下回っています。これは、脳外科医退職に伴い入院患者を抑制したことから入院単価が低くなったためです。今後は医師の確保に努めることで入院単価の上昇を図ります。外来患者1人1日当たり収益は、類似団体平均を下回っています。これは、「かかりつけ医」制度の推進により外来患者数は減少しているものの、高齢化の進行に伴い慢性的な疾患を抱えた高齢者が重症期から安定期に入っても引き続き受診することが多いことから外来単価が低くなっているためです。今後は、地域の開業医との連携を図ることで本来の役割である急性期患者の受け入れに特化することにより単価の上昇を図ります。職員給与費対医業収益比率については、医師不足により単価の高い非常勤医師や派遣医師を雇用していること、現在10:1の看護配置であるが7:1を目指し看護師の雇用をしていることにより類似団体平均より高い数値となっています。今後は、常勤医師の確保に努め非常勤や派遣医師の給与について見直しを行ってまいります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、新病院建設から7年しか経過しておらず低い数値となっています。今後は修繕を通じ適切な施設管理を実施していきます。器械備品減価償却率は高い数値となっているものの、医療機器については指定管理者により新規に購入もしくはリースが実施されていることから老朽化の状況はそれほど高くないと考えます。また、今後の整備については指定管理者と協議し適切な管理を行ってまいります。1床当たりの有形固定資産金額は、類似団体平均と比べ低く、今後も引き続き適切な投資を図ってまいります。
全体総括
経営状況について類似団体と比較すると、経常収支比率及び医業収支比率はほぼ平均値と同じであるが、累積欠損金比率は非常に低い数値となっており、経営の健全性は高いといえます。一方で、「収益の効率性」に関する指標である入院患者1人1日当たり収益及び外来患者1人1日当たり収益は平均値より低く、また「費用の効率性」に関する指標である職員給与費対医業収益比率は平均値より高くなっています。伊東市の高齢化率は国平均の28.1%を大きく上回る41.0%となっており、超高齢化社会のなか高度医療及び急性期医療を担う地域の中核病院として経営を存続していくため、地域の開業医との病診連携を通じ機能分化を進めることで収益の効率化を図り、さらに外来機能の見直しにより医師負担の軽減を図ることで常勤医師の確保につなげ、費用の効率化を図ることで、更なる経営指標の改善を行ってまいります。