地域において担っている役割
佐久医療圏の基幹病院として、2次医療から2.5次医療を担いながら、民間の医療機関だけでは充足しきれない周産期医療、小児医療、リハビリテーション医療、保健衛生事業及び災害時医療等政策的な医療や、不採算部門とされる医療についても担っています。また、身近な診療所で在宅医療の提供が困難な方や医療依存度の高い方などについては、訪問診療や訪問看護など患者さんの身体状況や家庭環境等に応じた各種訪問医療サービスの提供体制を整え、地域包括ケアシステム構築に貢献しています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、整形外科の診療収入増により黒字を維持、②医業収支比率は人件費及び材料費の増により下降傾向ですが、ともに類似病院の平均値を上回っています。③累積欠損金比率は、近年横ばい傾向であり、累積欠損金解消のため純利益の確保に努めます。④病床利用率は、医療療養病床を40床削減したことにより上昇しましたが、実質的には入院患者数の減により前年度から低下しています。⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益は、入院は年々増加し類似病院の平均を上回っているものの、外来は新患患者及び投薬収入等が少ないことにより、同平均を下回っています。➆職員給与費対医業収益比率は、職員の平均年齢の上昇やリハビリテーション強化に伴う職員の増により、類似病院の平均値を上回っています。⑧材料費対医業収益比率は、主に脳神経外科入院患者数の減に伴う診療材料の減により、やや微減となり、類似病院の平均値を下回っています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、資産の老朽化度合いを示す指標です。H28年度の中央棟建設により率は一旦大きく低下しました。年々資産償却が進み、類似病院の平均値をわずかに下回っています。②器械備品減価償却率は、器械備品の老朽化度合いを示す指標です。H27及びH28年度における第二次整備事業に伴う医療機器の更新により、率は低下しましたが、年々資産償却が進み、類似病院の平均値をわずかに上回っています。③1床当たり有形固定資産は、事業規模に応じた投資であるかを確認する指標です。東病棟の病床削減により平均値を上回りましたが、当該病棟は老朽化が著しいため、今後の用途について検討中です。なお既存病棟等においては、適切な改修を行い、地域のニーズに即した機能の確保に努めてまいります。
全体総括
浅間総合病院は、佐久医療圏における政策的医療や不採算医療を担っているため、収益性は比較的低い傾向にあります。そのため、材料費等の経費節減や医療機器の長寿命化に努めています。しかしながら、良質な医療の維持・向上には、老朽化している施設の改修、医療機器の更新のため、計画的・効率的な設備投資が必要であり、そのためには、医業収益の増加を図るべく様々な施策を講じていく必要があります。今後も、医師確保の推進による医業収益の増加、人件費の適正化や経費の節減により財政の健全性を確保し、経営の安定化に努めていきます。