経営の健全性・効率性について
・現状の料金は、類似団体と比較すると平均値以下であり、現行の料金水準では経営が維持できない状況であるため、料金改定が必要となっている。簡易水道事業の安定的な運営と健全経営に努めるため、料金改定に向けた計画の策定と最大限の経費削減に取り組む必要がある。・企業債残高については、過去において水道未普及解消事業及び統合整備事業に多額の事業費を要したため、企業債残高は多いが、事業収益で元利償還金等の財源を賄えないため、一般会計からの繰入に頼っている状況である。尚、企業債残高対給水収益比率が下がったのは、平成23年度に民間金融機関資金(利率0.39%)を利用して借り換えを行った繰上償還の返済が平成27年度末で完了したためである。・維持管理費等については、施設点検と検針業務の一部を民間へ委託し、経費節減に努めている。また、水道料金収納業務等については、業務全般の効率性を推進するため、包括委託を検討しているところである。なお、有収率については、施設台帳に基づく徹底管理と現場状況の把握を進め、向上に努めているものの年々低下傾向にあり、更なる現場管理の効率化に取り組む必要がある。このため、基礎資料として独自に策定した大月市簡易水道事業等の将来構想(ビジョン)において方針・課題・計画等を定めている。
老朽化の状況について
・供用開始から30年以上経過した未改良の配水管が多く存在し、見えない漏水による有収率の低下が見受けられる。また、水道施設(配水池、ポンプ等)においても耐用年数を超えている施設があり、故障のたびに修理や取替をしている状況である。一部の施設では、配水池の容量不足や渇水期の取水量確保などの課題があり、計画的な施設の更新が必要である。しかし、市営簡易水道をはじめとして、現行の施設状況はそれぞれ異なることから、施設整備事業の着手にあたっては、原則として国等の制度事業の支援を前提とし、かつ受益者と将来構想に対する合意形成が得られたものについて、大月市簡易水道事業等の将来構想(ビジョン)に基づき更新計画を策定し、整備を推進する。・老朽化した滅菌設備は、一部を除き平成27年度に取替を行った。
全体総括
・簡易水道は、住民の生活を支える上で重要な施設であり、安全でかつ安定的に供給しなければならない。経営に当たっては、経費の削減と経営の合理化を推進すると共に、営業収益の根幹をなす水道料金を見直すなど、将来にわたる経営の安定化に最善の努力をする必要がある。・供給した配水量の効率性を図るためには、管路の更新は不可欠であり、管路更新計画を策定する必要がある。このため、大月市簡易水道事業等の将来構想(ビジョン)に基づき、平成28年度に大月市簡易水道事業水道料金改定資料作成業務委託において簡易水道事業会計の健全化、施設の更新に向けた取組等について検討する。