地域において担っている役割
急性期医療を担う地域の中核病院として,診療科目16科,病床数200床の規模で,指定管理者制度(利用料金制)のもと運営を行っています。平成30年度は,前年度に引き続き,『柏市立柏病院新公立病院改革プラン』で定めた数値目標の達成に取り組み,地域医療連携の推進と救急医療体制の整備を図り,地域医療の充実に取り組みました。また,新たに小児科常勤医師が増員されたことから,検査入院の患者を受入れるなど,入院に向けた体制を構築することができました。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は地域包括ケア病棟の活用や地域連携の推進に引き続き取り組み,病床利用率がさらに増加しました。経常収支比率,医業収支比率とも100%を上回っていますが,平成30年度は人件費等の費用が増加したため,収支比率は減少しています。また,患者1人あたりの収益については,入院は増加したものの,外来はジェネリック医薬品の導入を促進したことから減少しております。なお,材料費対医業収益比率は院内処方を採用しているため,平均よりも大きく上回っています。
老朽化の状況について
建物及び設備は,国からの有償払下げを受けた旧国立病院時代のものを使用しており,築40年を経過しているため,老朽化が著しい状況です。これまで,レイアウト変更や改修工事を行っていますが,大型化が進む現在の医療機器の設置が難しく,医療環境への対応が困難な状況です。その結果,固定資産全体の償却率は経過年数に伴い増加し,器械備品の多くは法定耐用年数を超過しています。こうした建物・設備の経年状況下で,今後も病院としての機能・役割を果たすためには,大規模修繕では対応しきれないため,建替えの必要があるとされています。
全体総括
現時点においては,収益により費用を賄えており,財務上の安全性は高く,類似病院と比較しても健全な経営状態にあると言えます。しかしながら,病院の建替えを行うには多額の事業費を要することから,病院事業債の償還や減価償却費の増大といった経営的なリスクを念頭においた運営が求められます。平成30年度は,病床利用率が向上したものの,人件費等の増加から収支比率が減少しました。今後も『柏市立柏病院新公立病院改革プラン』で定めた目標達成に向けて,病床利用率の向上や費用の抑制等の取組を推進し,質の高い医療を安定的・継続的に提供できる自立的な経営体制を維持しつつ,より一層の経営改善に努めていきます。