地域において担っている役割
市内の基幹病院として市立田沢湖病院や市内5つの診療所と地域医療体制を確保し、救急医療、高度医療などの急性期医療を担っている。また、救急告示病院及び災害拠点病院として大仙・仙北二次医療圏の中核的な役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、平成29年度末の精神科常勤医師の退職後、後任の医師の確保ができず、精神科病棟が年間を通じて休床となり、患者数が減少した。医業収支比率は77.8%(前年度から1.1%減)、経常収支比率は90.5%(前年度から0.9%減)で100%未満となった。この結果、累積欠損金比率については127.2%(前年度から17.9%増)と類似病院平均値を36.4%上回る厳しい経営状況となった。また、精神科病棟の休床や人口減少に伴い患者数が減少し、医業収益が減少したことにより、職員給与費対医業収支比率は65.7%(前年度より1.5%増)となり、類似病院平均値を6.3%上回った。病床利用率の年間平均については70.4%で、前年度より大きく落ち込んだが、精神科病棟の休床によるものである(一般病床のみを比較した場合、前年度を上回っている)。
老朽化の状況について
病院建物の老朽化が進行していたが、平成29年2月に新病院が完成した(開院は4月)。このことにより、平成28年度から有形固定資産、器械備品ともに減価償却率が大幅に減少した。同理由により1床当たり有形固定資産は上昇した。
全体総括
新病院建設に係る元金の返済が本格化する状況でありながら、医師確保が難航し、厳しい経営状況となっている。新たな加算の算定や診療報酬改定へ対応し、更なる診療単価の向上、医療機器の効率的な運用により収入の確保を図る。患者確保については、地域医療連携室における外来・入院ルート及び介護施設等との連携を強化、市内診療所の集約化、紹介・逆紹介率の向上による地域の開業医からの確実な患者の受入れなどを積極的に行う。また、休床が1年以上続いている精神科病棟については、再開を目指すだけではなく、将来の医療需要を考慮し、他の病床機能への転用も含め、早期に方向性を決定し収益を確保する。