経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」及び「流動比率」は、共に100%を超え累積欠損金はありません。しかし、給水区域が中山間地で人口が少ない過疎地域であることから、給水収益で費用を賄うことが困難で営業外収益である一般会計からの繰入金で不足分を補うことにより経営を保っている状況にあります。給水人口の減少等に伴い給水収益が前年度より1.7%約100万円減少したことなどにより「料金回収率」が58.51%で前年度より2.85ポイント減少し低い数値で推移しています。繰入金を現在以上に増やさないために給水収益を減少させないよう取り組む必要があります。「企業債残高対給水収益比率」については全国、類似団体平均より低い数値ですが、前年度より給水収益が約100万円減少した一方、企業債を活用した施設更新により企業債残高は約850万円増加したことから比率が24.96ポイント上昇し585.05%となっています。「施設利用率」は、平成24年に認可変更届を行い、利用率の適正化を図った施設があること等により、類似団体平均より高い値となっています。「有収率」については、ほとんどの施設が昭和60年代以降に設置した施設であることと、配水量の監視により早期の漏水対応に努めた結果、類似団体等の平均を上回った数値になっています。
老朽化の状況について
ほとんどの施設が昭和60年代以降に設置されており、「管路経年化率」は全国平均、類似団体平均と比較して低い水準にあります。当年度の「管路更新率」は0%ですが、今後増大することが予想される老朽化への対策について、新たな交付金等を活用した財源確保も厳しい状況にあることから、過疎債や企業債等を活用し計画的に事業を実施することにより事業費の平準化を行う必要があります。
全体総括
地方公営企業法を適用して3年目の決算状況であり、給水収益だけでは費用を賄うことが困難な簡易水道の特徴が顕著に表れています。給水収益と企業債のほか、一般会計からの繰入金を大きな財源として事業が維持されている状況です。法適用前から給水人口の減少が続いていますが、今後さらに減少が加速することや施設の老朽化が進むことが予想されており、安定した水の供給のためには施設統合や老朽管路更新をはじめとする施設整備が重要です。令和5年1月から料金改定が行われましたが、引き続き計画的な事業運営と財源の確保を図り安定経営を目指します。