地域において担っている役割
地域で唯一の中核公的病院として、民間の医療機関では担うことが困難である不採算・特殊部門に係る医療や高度・先進医療を提供するため「へき地医療拠点病院」「救急告示病院」「地域周産期母子医療センター」「災害拠点病院」「地域がん診療連携拠点病院」などの各種指定を受けるとともに、「地域医療支援病院」として地域の医療機関の後方支援病院としての役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
収益の状況を示す指標である「経常収支比率」及び「医業収益比率」においては、大幅に平均値を上回るとともに、新公立病院改革ガイドラインにおいて求められている経常収支比率100%を既に達成できている。さらに、病床利用率、患者1人1日当たりの平均単価(入院及び外来)についても平均値を上回る状況であり、医業収益に占める職員給与費の割合である「職員給与費対医業収益比率」についても、健全経営の目安である50%以下となっている。また、「材料費対医業収益比率」が近年上昇傾向にあるのは、類似病院に比べ、がんや心疾患の治療に積極的に取り組んでいる影響であると考えるが、本病院の特性であり、収益にも反映されているため問題はない。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」については、新病院建設後4年程度であり未償却残高も多く、平均値と比較しても低い値となっている。「機械備品減価償却率」については、新病院開院時に購入した医療機器の減価償却がほぼ終了したため平均値より高い値となっていると思われるが、機器の耐用年数的には問題なく、今後計画的に更新を行う予定である。「1床当たりの有形固定資産」については、平均値より低い値を示しており、今後も適正な値を維持できるように努めたい。
全体総括
当院は各種指定の状況や経常収支比率、病床利用率などの指標の面からも、類似病院と比較しても良好な経営状態であることが判断できる。収益の面では、入院及び外来ともに患者単価は類似病院の平均値よりも高く、費用の面においても、最も大きな割合を占める人件費についても適正な割合の範囲内で推移している。また、有形固定資産の保有状況は適正な範囲ではあるものの、機械備品減価償却率は若干高めであるため、計画的な機器更新に努めたい。以上のような内容から、当院は良好な経営状況を維持しつつ、地域の中核公的病院としての機能を十分果たせていると思われる。