経営の健全性・効率性について
新居浜市の水道事業会計は、平成9年の料金改定以来23年連続して純利益を計上している。しかしながら、人口減少や節水型機器の普及による水需要の減少により給水収益が減少していること、減価償却費等の増加による費用の増加により、営業収支は赤字に転落しかねない状況である。加えて、今後発生の恐れがあるとされている南海沖巨大地震に備えるための耐震対策や老朽化に伴う施設の整備・更新に多額の建設事業費が必要であるが、企業債残高は全国平均を大きく上回って推移しており、持続的な経営を行うためにはこれ以上企業債に依存することはできない。今後も健全な経営を維持するためには、事業全般にわたり一層の効率化を図り、コスト縮減の取り組みを進めなければならないが、それでも不足する財源に対しては、料金改定が必要となる。
老朽化の状況について
管路の経年化率は、大量に布設していた時期の管が耐用年数を超えて加算されていることにより、増加傾向にある。アセットマネジメントに基づき策定を行った経営戦略の投資財政計画により、老朽化対策や耐震対策による施設の更新等を進めていくとともに、更新後の性能(口径・能力等)の合理化・ダウンサイジングを検討し、計画的に整備を行っていく。
全体総括
新居浜市の水道事業は、地下水を水源としており、ダムや河川からの表流水と比べて浄水処理にかかるコストを低く抑えているため、平均よりかなり低い水道料金で黒字決算を維持している。しかし、将来発生の恐れがある南海沖地震等の耐震対策や、老朽化した管路や水道施設の更新に多額の建設事業費が必要であること、また今後も人口減少が続き有収水量が減少することが予想されることから、コスト削減だけでは対応できないことが考えられる。安心・安全な水の安定供給を継続して行うため、平成30年度に策定した経営戦略に基づき、水道事業の基盤強化に取り組んで行きたい。