経営の健全性・効率性について
●少ないながらも人口が減少していることから、料金収入も減少し、近年、収益的収支比率が低い水準となっている。今後、支払利息・地方債償還金は横ばいで推移するものの、事業規模が小さい本事業においては維持管理費の大幅な削減は見込めない状況にあり、人口減少の進行に伴って料金収入が減少すると見込まれるため、収支比率は横ばいもしくは減少傾向になると考えられる。料金収入の改善に向けて、令和元年度上下水道運営審議会の答申に基づく料金の引上げを着実に実行する必要がある。●企業債残高対事業規模比率は、既発債の着実な償還により近年は減少傾向にある。類似団体と比較してR3で329.03%も上回っており、事業規模から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みではあるが、人口減少による料金収入の減少も見込まれることから、他の下水道事業と併せて運営審議会答申に基づく料金引上げを着実に行う必要がある。●経費回収率については、近年は減少傾向にあり、R3は前年度比で1.91ポイントの微増となり、類似団体と比較して17.95%も下回っている。維持管理費の抑制は事業規模から見て困難であるため、今後は料金の見直し等により健全性の向上を図っていかなければならない。●汚水処理原価については、近年同水準で推移しており、R3は類似団体と比較して259.22円上回っているため、汚水処理の効率性は低いと言える。地理的要因により他処理区との統合も不可能であるため、汚水処理の効率化は困難な課題となっている。●施設利用率については、類似団体と比較してR3で207.48%下回っており、施設の効率性は低いと言える。水洗化率は既に100%に達しており、隣接する他処理区との統合も現実的に不可能なため、これ以上の効率性の向上は困難な状況となっている。
老朽化の状況について
処理施設が合併浄化槽のみで管渠はないため、管渠改善率は0となっている。施設管理は、当面、軽微な修繕で対応が可能であるが、適切かつ計画的な維持管理を行い、施設を適正な状況で維持していく必要がある。
全体総括
個別排水処理(合併浄化槽)という事業の経営規模からみて、大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状態にあるため、他の下水道事業と併せて運営審議会答申に沿って料金の引上げを進めていく必要がある。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みはないものの、適切な施設の維持管理を行いながら、計画的な施設修繕等を行い、経営の健全化を図らなければならない。