地域において担っている役割
鳥取県東部医療圏の中核病院として、救急医療・がん医療などをはじめとした急性期医療を提供すると共に、東部医療圏唯一の在宅療養後方支援病院として、在宅療養者の緊急時に受け入れができる体制を確保している。また在宅医療・在宅介護事業の充実を図り、急性期から回復期さらに在宅医療の支援へと切れ目のない医療提供を推進している。
経営の健全性・効率性について
昨年度より医師1名となっていた眼科が年度途中に2名増員したものの、循環器内科の専任医師不在による患者数の減少などの影響もあり、入院・外来ともに収益が減少して、経常損失は昨年度を上回る7億4119万円となり5年連続の赤字決算となった。そのため累積欠損金比率についても平均値を大きく上回って推移しており、非常に厳しい経営状況が続いている。職員給与費対医業収益比率は、昇給等により給与費が昨年度より増加し平均よりも上回っている。材料費対医業収益比率については平均値を大きく下回って推移しているので、今後も価格交渉等により削減効果の期待できる手法に積極的に取り組む。
老朽化の状況について
当院は新築移転後20年以上が経過しており、施設設備の老朽化に伴い修繕費用が増大していくことが懸念されるが、今年度は熱源装置について、設備の更新費用を省エネルギーに伴う改修で実現する光熱費等の削減分で賄う「鳥取市立病院ESCO事業」に取り組んだ。厳しい経営状況が続いている中で、今後も医療機器等の更新や導入については、費用対効果を十分に考慮しながら進めていく。
全体総括
地域医療構想が目指す病院機能分化を果たすため、10月に地域包括ケア病棟を48床から96床へ増床したが、病床稼働率が伸び悩み、全体の入院患者数も昨年度より減少して経営改善には至らず、過去5年間で最大の経常収支赤字となった。年度末から新型コロナウイルス感染症の感染が拡大してる中で、公立病院としての責務を果たしながら、地域の医療機関との連携をさらに深めて患者の受入れ体制を強化し、経営改善につながる具体的な施策を積極的に実施する必要がある。