地域において担っている役割
鳥取県東部医療圏の中核病院として、救急医療・高度専門医療・がん医療などをはじめとした急性期医療を提供すると共に、東部医療圏唯一の在宅療養後方支援病院として、在宅療養者の緊急時に受け入れができる体制を確保している。また在宅医療・在宅介護事業の充実を図り、急性期から回復期さらに在宅医療の支援へと切れ目のない医療提供を推進している。
経営の健全性・効率性について
30年度は入院・外来ともに大幅に患者数が減少し、経常損失は7憶1676万円で4年連続の赤字決算となった。そのため累積欠損金比率についても平均値を大きく上回って推移しており、非常に厳しい経営状況は改善されていない。入院患者1人1日あたりの収益については平均よりも大きく下回っており、28年度より開設している地域包括ケア病棟の効果的な運用について更に検討する必要がある。職員給与費対医業収益比率は、看護師や医療技術職員の採用増、給与改定や定期昇給等により給与費が増加し、平均よりも上回っている。材料費対医業収益比率については平均値を大きく下回って推移しているので、今後も削減効果の期待できる手法に積極的に取り組む。
老朽化の状況について
当院は新築移転後20年以上が経過しており、施設設備の老朽化が進んでいて、今後は修繕費用が増大していくことが懸念される。器械備品減価償却率が平均を下回っているのは、老朽化したハ-ド更新を中心に、電子カルテシステムの更新を行った影響によるものである。厳しい経営状況が続いている中で、医療機器等の更新や導入については費用対効果も十分に考慮しながら進めていく。
全体総括
30年度には救急科を新設して救急患者の受入体制を強化したことで、救急患者の受入は対前年度16%増となったが、全体の患者数は伸び悩んで経営改善には至らず、過去5年間で最大の経常収支赤字となった。今後は関連施設との連携をさらに深めて患者の受入れ体制を強化し、地域包括ケアシステムの一翼を担う病院としての役割を果たしながら、経営改善につながる具体的な施策を積極的に実施する必要がある。