地域において担っている役割
当院は昭和45年に全国で2番目の小児専門病院として神戸市須磨区に開院。平成28年に神戸市中央区のポートアイランドに移転し、県内唯一の小児専門病院として高度専門・特殊医療を提供し、高度急性期医療を担っている。他の医療機関等との役割分担と連携のもと、小児・周産期医療分野では総合周産期母子医療センターとしてハイリスク妊産婦・胎児・新生児に対応するほか、小児救急医療分野においては、小児救命救急センターとして重症患者に対する小児三次救急医療を提供し、また、小児がん医療の分野では、小児がん拠点病院として質の高い小児がん医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
・平均在院日数の適正化等により入院延患者数は減少したものの、施設基準の取得等診療機能に見合う収益の確保により経常収支比率(99.2%)、医業収支比率(79.8%)はともに改善傾向にある。・また、累積欠損金比率は類似病院平均を上回るが平成28年以降毎年低下している。・小児専門病院である当院の診療単価は総じて類似病院平均を上回って推移しているが、給与費対医業収益比率が70%超と高いため、地域連携の推進や診療機能の充実等により病床利用率の拡大を通じて、医業収益の向上を目指す。
老朽化の状況について
・質の高い医療と安全安心な病院の実現を目指して策定された「県立こども病院建替整備基本計画に基づき、神戸市中央区のポートアイランド内に新病院を整備し、平成28年5月に移転した。・したがって、有形固定資産減価償却率および器械備品減価償却率ともに平均を下回る。・一般的に小児専門病院は医療機器の設備に占める割合が同規模の一般病院に比べて高い傾向にあり、病院移転時に医療機器を新規取得し診療機能の高度化を図ったため、1床当たり有形固定資産額が増加した。・旧病院から移設した医療機器も多いが、保守点検や修繕等、適切なメンテナンスに努めている。
全体総括
平成28年(2016年)度に策定した「新県立病院改革プラン」において、少子化の進展や医療需要の変化、医療政策の動向等を見極め、2025年に向けて高度専門・特殊医療の一層の充実を図ることとした。兵庫県下唯一の小児専門病院としてハイリスク妊産婦等の受入強化や診療応援等による先天性心疾患の新規患者の確保等、患者数の増加を図り、特定入院料の算定率向上、在院日数の適正化等により収益面の強化を図る。また、後発医薬品の使用拡大、価格交渉による診療材料費の低減、修繕費や光熱費等経費の抑制に努め、費用の低減を通じて、材料費比率、経費比率の改善を目指す。