地域において担っている役割
当院は貝塚市及び周辺地域において、中核的な基幹病院として質の高い医療を安定的かつ継続的に提供しており、小児輪番制の救急をはじめ、大阪府がん診療拠点病院としてがんのトータルケア等の特色を活かした医療も提供している。また、りんくう総合医療センターとの周産期医療と婦人科医療における機能分担の取組(泉州広域母子医療センター)や、臨床研修医の受入を行うなど、地域の医療貢献にも取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
経営指標に係る数値については、概ね類似病院平均値より良好な結果となっている。一方、材料費対医業収益比率については、C型肝炎新薬の影響により、H27年度以降大幅に上昇しており、類似病院平均値と比較しても大きく上回っている。また、病床利用率については、H30年度は落ち込みが見られる。これは、前年度に比べ平均在院日数が0.7日短縮したこと等によるものであり、低水準が続いている。そして、経常収支比率については、H29年度は診療単価の増等により診療収入が増加した結果100%を上回る水準に改善したが、H30年度は給与費の増加に見合う診療収入が確保できなかった事等により100%を下回った。H30年10月に低侵襲外科手術センターを開設し、新規患者の確保等による診療収入の増加に取り組んでいる。
老朽化の状況について
平成8年度に病院が完成し、現在約20年が経過していることから、建物本体の耐用年数の半分程度が経過した状況である。また、空調設備、電気設備等の附帯設備については、耐用年数を既に経過しており、今後、更新の予定である。同様に、医療機械器具等の資産についても、老朽化が目立つ状況であり、CT等の高額医療機器も更新の予定である。加えて、建物及び付帯設備の取得額が大きい。その結果、有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率及び1床当たり有形固定資産の3指標とも類似病院平均値を上回っている。
全体総括
当院の理念は「地域住民を守る良質な医療の提供」であり、今後も地域の中核病院として急性期機能を担うとともに、がんのトータルケアを提供していきたいと考えている。これを継続的に実現していくためには、安定した経営が不可欠であることから、ベンチマークを用いた価格交渉等による材料費の削減や、低侵襲外科手術センター開設等による新規患者の確保で病床利用率の向上を図るなど、様々な経営効率化に取り組み、経常収支の黒字を達成していく。また、老朽化した施設等の更新、無駄のない医療資源への投資を行い、今後も地域における医療貢献を最大限に発揮していく。