地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に基幹医療を提供し、地域の中核病院として地域全体の医療・福祉の向上に寄与している。救急医療・小児医療に加え、平成22年には、地域周産期母子医療センターをオープンし、地域住民が安心して分娩と子育てができる環境の整備を行い、市民の健康を守る総合病院として地域医療を行っている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率については、平成28年度以降は類似病院平均値を下回っており、平成29年度は常勤整形外科医の採用などにより前年に比べて2.3%の回復となったものの、平成30年度は平成28年度並みの病床利用率となった。医業収支比率については、医業収益が前年度より増加したことで、類似病院平均値に比べて4.9%高くなっている。また、累積欠損金比率については、平成30年度においても欠損金が発生しているものの、比率計算上分母にあたる医業収益の増により、前年度より比率は低くなっている。収益については、入院患者1人1日当たり収益(入院単価)は類似病院平均値を上回っており、平成29年度に実施したベッドコントロールセンターの設置や一部病棟の地域包括ケア病棟への変更等により、前年度に比べて3,320円高くなっている。外来患者1人1日当たり収益(外来単価)は、単価の低い慢性疾患患者の受け入れも多いこと等の要因により類似病院平均値を下回っている。
老朽化の状況について
現在の建物は平成10年に建替えを行い、地域周産期母子医療センターについては平成22年に整備したものであるが、施設全体の老朽の度合いを示す有形固定資産減価償却率が年々上昇しており、平成28年以降、類似病院平均値を上回る結果となっている。器械備品減価償却率についても、類似病院平均値を上回っているため、施設・器械備品の計画的な更新が必要と考えられる。今後は、経営状況及び病院再編による診療体制への影響を鑑み、診療の継続に係る機器など優先順位を設けて更新を行う必要があると考える。
全体総括
本院では、平成28年11月に国が示したガイドラインに沿って新公立病院改革プランを策定し、現在、病床利用率の向上、医業収益の確保に向けた経営改善の取組を進めている。しかし、平成30年度については、入院及び外来単価が前年度に比べて上昇し医業収益が増加したものの、給与費及び人件費等の費用も増加することで欠損金が発生し、累積欠損金が年々増加しており、より一層の経営改善への取り組みが必要となっている。併せて、国の医療制度の改変等に対応しつつ、市立病院として地域医療を提供するにためには、再編・ネットワーク化を含めた抜本的な改革に取り組む必要が生じているところである。