地域において担っている役割
当院は、常滑市唯一の入院施設を持つ病院として、急性期患者に対応するため、急性期医療の提供を続けている。そして、今後増えることが予想される回復期患者にも充分対応していくため、急性期医療を主体としつつも回復期医療などにも取り組むケアミックス型の病院としての役割を果たしている。また、平成28年1月4日、厚生労働大臣より国内4番目となる特定感染症指定医療機関の指定を受け、未知の感染症の蔓延を水際で防ぐ役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について、新病院建設時に一括購入した医療機器に係る減価償却費が毎年約4億円発生しているため、②医業収支比率は低い傾向にある。それに伴い、③累積欠損金比率がまだ高い。また、当院はケアミックス型の病院のため、⑤入院患者1人1日当たり収益(急性期ː44,600円、回復期ː32,846円、地域包括ケアː32,122円)が類似病院平均値よりも低いが、④病床利用率は愛知県18公立病院中1位(88.7%)となっている。H28年6月に地域包括ケア病棟を開設したことにより、スムーズな退院支援を行なえるようになり、④病床利用率が増加した。また、平成28年11月から婦人科の常勤医師が赴任したことにより、従来は受け入れることができなかった患者についても受け入れることができるようになったため、⑥外来患者1人1日当たり収益の増加につながっている。そして、H27年の退職給付引当金繰入額が0円に対してH28年が145,751千円だったため、⑦職員給与費対医業収益比率が増加したものの、類似病院と比べると低い水準を維持していること並びに薬品の価格削減交渉を積極的に行っていることから、今後は経常収支が好転していくものと考えている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②機械備品減価償却率について、新病院建設時に医療機器等を一括購入したことにより、類似病院よりも数値が低い結果となった。また、新病院移転時に不用となった有形固定資産を除却したため、③1床当たり有形固定資産の数値は類似病院よりも数値が低い結果となった。
全体総括
当院は、損失計上が続いていることから、累積欠損金が計上されている。しかし、損失計上の主な理由である減価償却費(新病院建設時一括購入分)は、H32年度に概ね終了する予定であること並びに減価償却費は現金支出を伴わない費用のため、今後の経営に影響を与えるものではないと考える。また、平成29年2月から当院、半田病院、西知多総合病院の3病院で「知多半島医療連携ネットワーク」の運用が開始された。これにより、患者の同意のもと3病院間での電子カルテの相互開示や、このネットワークに参加する地域の医療機関からも3病院の電子カルテの確認が可能となる。今後の取組みとして、この連携により、途切れのない質の高い医療の提供ができるようにしたい。