地域において担っている役割
共立蒲原総合病院は、旧庵原3町及び旧芝川町の地域では、唯一入院施設のある病院である。「急性期病床」「地域包括ケア病床」「療養病床」の3つの病床機能を有するケアミックス病院で、必要な医療を切れ目なく提供できるよう取り組んでいる。高齢化が進む中で重要性が増してきているのが在宅機能であり、訪問看護ステーションも有している。また、健康診断センターも有しており、病気の早期発見・早期治療により健康寿命を延ばす予防医学にも取り組んでいる。当院は、災害発生時の孤立化が懸念される地域に立地している事から、地域住民が安心して生活を送るためには救急医療、災害医療を提供できる体制を維持し続けることが責務であると考える。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成市からの損失補填補助金収入により、高い比率になっている。しかし本業である医業収支比率は、類似病院と比較し低値になっており、昨年度よりも改善はしているものの医業費用を医業収益で賄えていない状況に変わりはない。1人1日あたり入院収益および外来収益は、類似病院の平均値を下回る一方、「職員給与費対医業収益比率」は類似病院平均値と比較すると経年で高い水準となっている。職員の高年齢化や、医療提供体制を確保するための非常勤医師の賃金などが給与費を押し上げているが、医業収益確保のために必要な常勤医師招へいのほか、業務改善等により職員配置の適正化を図り、人件費の抑制に努めることにより改善を図ることが必要だと考える。
老朽化の状況について
当院は、新築移転から36年が経過しており本館の老朽化が著しい。令和2年度から大規模修繕工事を予定しており引き続き長寿命化につとめていく。また、医療器械については、耐用年数を超えて使用している物もあるが、計画的な設備更新を行い財政負担の平準化に努めている。・1床あたり有形固定資産については、類似病院平均と近似値ではあるものの、病床の返還によりダウンサイジングを実施しているが建物は残っている事、過去に運営をしていた看護学校の建物を有している事や健診センター事業、訪問看護事業を有している事等を考慮すると実質は平均よりも少ない資産保有となる。財源が限られており、企業債を効果的に使用し、必要な整備・更新に努めている。
全体総括
当院は、富士医療圏及び静岡医療圏の境界に位置し、両圏域の患者を受入れている。特に外来患者の約74%、入院患者の約56%は、旧庵原3町と旧芝川町の住民で占められており、この地域には競合する公立・公的病院、民間病院はなく、民間病院との統合や再編は慎重に検討すべきと考えている。また、当院はケアミックス型病院であり、近接する両市の市立病院とは病床機能において、急性期、回復期で重複するものの適切な配分になっており、慢性期は、当院だけが持つ病床機能である。今後も圏域の地域病院として、基幹病院と連携しながら経営改善に努める事が必要である。