地域において担っている役割
開院以来、地域の公立病院として菊川市周辺の急性期医療と二次救急を中心に担ってきている。近年は、これらの機能に加え新たに回復期機能を整備し、入院から在宅復帰まで隙間なく支援することを目指している。リハビリに特化した回復期リハビリテーション病棟に加え、平成28年10月からは地域包括ケア病棟を開設し、在宅復帰に向けた支援を行っている。また、プライマリケアの充実のため、家庭医(総合診療医)による予防・外来・在宅診療を提供している。
経営の健全性・効率性について
平成25年度以降は、医業費用の増加により医業収支、経常収支は悪化の傾向にある。医業収益は、入院・外来ともに患者数が減少しているものの、単価の増により増収傾向にある。一方、費用面では、人事院勧告による給与改定や法定福利費の増加によって給与費比率は上がり続けている状況である。材料費などの経費削減対策に取り組んでいるものの、医業費用は年々増加しているため、経常収支比率は100%に近い状況が続いている。また、当院は精神科病棟、地域包括ケア病棟、回復期病棟といった一般急性期以外を設置しているため、入院患者1人1日当たり収益は平均値を下回ってしまっているが、地域のニーズに合った病院を目指した取り組みを行っている。外来患者1人1日当たりの収益も平均値を下回っており、これは設備の違いや逆紹介が進んでいないためだと考えられる。今後は、平成28年10月に導入した地域包括ケア病棟の活用をより推進し、病床利用率を高めることにより、収益確保に努めるとともに、費用面の見直しも進めていく。
老朽化の状況について
移転新築から約20年が経過し、建物関係における減価償却の累計額は大きくなり、老朽化に伴う建物・建築物の修繕費なども増えてきている。医療機器は、財政状況が厳しいこともあり、耐用年数を超えて使用を続けている機器数も増えてきており、電子カルテや検査機器などの高額医療機器については、10年程度の購入計画を定め、各年度の財政負担の平準化に努めていきたい。
全体総括
近年の傾向として、収益が増加する一方、制度の改正により費用も大幅に伸びていることにより、収支は若干の悪化傾向となっている。今後も、人事院勧告によるベースアップ、働き方改革、消費税の税率改定など費用が伸びる見込みの方が大きく、見通しとしては厳しい。平成39年度以降、病院建設時の償還金の負担が少なくなるため、キャッシュフローを維持していけるよう経営努力をしていく必要がある。現体制での医療サービス提供を維持するため、病院としてはより一層の経営効率化を図るとともに、市一般会計でも繰入金をねん出していけるよう市全体で協力して乗り切っていく。