経営の健全性・効率性について
可児市水道事業は、水源すべてを県水の購入に頼っています。指標⑥給水原価は、有収水量1.あたり、どれだけの費用を要するか表すものです。類似団体平均よりも「原価の高い水」となっています。この費用の60%以上を県水購入費が占め、減価償却費と合わせると費用全体の80%程度となっています。指標①経常収支比率、⑤料金回収率は、いずれも100%を超えています。単年度収支で黒字を確保しており、給水に係る費用は給水収益(水道料金)で賄えています。指標④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均、全国平均を大きく下回っています。これは新たな借入を行わず投資事業を行っていることによります。水道施設について、指標⑦施設利用率は、H30は59.81%で類似団体平均、全国平均を下回っています。将来の水需要を予測し、適切な配水能力を確保するよう施設の統廃合・ダウンサイジング等を図ります。指標⑧有収率は、100%に近いほど水道施設から給水される水量に漏水がなく、使用者に届いているかが分かり、類似団体平均、全国平均を上回っています。漏水を減らすよう漏水調査を継続実施します。また、昭和40年代に使用された塩化ビニル管が残存する桜ケ丘地区(メーター数約1,500個)の布設替事業をH27から実施し、進捗率は47%程度となっています。
老朽化の状況について
可児市水道事業は、昭和37年に供用開始し、令和4年には60年を迎えます。有形固定資産には、建物、配水池、ポンプ場、管路、機械・装置など様々なものがあり、法定耐用年数にも違いがあります。有形固定資産の老朽化度合いを示す①有形固定資産減価償却率は、H30では48.58%と右肩上がりで老朽化が進行して全国平均に近づいています。管路に着目した指標②管路経年化率は、管路の老朽化度合いを、③管路更新率は、当該年度に更新した管路延長の割合を示します。②では昭和50年代に開発した住宅団地内の管路が順次、法定耐用年数の40年を経過する状況にあります。③ではH30の更新率は0.94%で類似団体平均、全国平均を上回っています。H27から桜ケ丘地区の布設替事業を開始しています。また、H30で配水池等の水道施設の耐震化を終え、令和元年度から基幹管路(送水管・配水本管)等管路更新事業を本格化させます。
全体総括
可児市水道事業の経営状況は、各指標の示すとおり安定的な経営が維持されています。しかし、将来を見据えたとき、人口減少による給水収益の減収や水道施設の老朽化に伴う更新投資費用の増大が見込まれます。投資計画は、将来の水需要予測を基に施設の統廃合や管路口径の見直し等、施設全体のダウンサイジングを行います。また、財源計画ではその投資を支える財源は料金収入と繰入金、及び内部留保資金の活用で均衡が図れる見込みとなっています。水道料金については、平成30年度に可児市上下水道事業経営審議会より、令和元年度から5年間の料金据え置き(税抜単価)の答申を受けました。今後も水道水の安定的な供給のため、経費削減を図りながら、施設の更新に取り組みます。