経営の健全性・効率性について
令和2年度から関川村上水道事業と関川村簡易水道事業をソフト統合して、関川村簡易水道事業となった。水道事業が1事業になったことで、経理業務をはじめ業務を効率化できてる。経常収支比率は、109.64%と100%を上回っているものの料金収入で賄えない部分に関しては、一般会計からの繰り入れに頼っている状態である。留保資金に回せるだけの資金の余裕がないため、他の類似団体に比べて流動比率は低くなっている。企業債残高対給水収益比率が他の類似団体と比べ1割程度高くなっていることからも、企業債残高に対して料金収入が少ないことがわかる。料金回収率に関しても他の類似団体よりは高いものの、70%程度であり給水原価と供給単価に大きな乖離がある。片貝地区を除いて滅菌処理のみのため、給水原価は安く、施設利用率も類似団体の平均よりはよい。しかし、今後も人口の減少が見込まれることから、施設利用率の減少が考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率・管路経年化率ともに他の類似団体と同程度か数値が悪いにも関わらず、令和3年度の管路更新率は他の類似団体に比べ極めて低い。これは、令和3年度は水管橋の更新工事が多く、メートル当たりの費用が高かったことが影響している。しかし、例年ベースの延長で管路を更新したとしても、類似団体の平均値には及ばない。有収率は全国平均及び他の類似団体と同程度あるものの、現在の更新ペースでは、老朽管が増え有収率の低下が懸念される。国庫補助や有利債を活用し、少しでも多く管路の更新を行うとともに、人口減少に合わせた管路の最適化を行いダウンサイジングについても検討しなければならない。
全体総括
令和2年度に上水道と簡易水道の経営を統合したことにより、事務量を軽減することができた。しかし、施設の統合を伴わないソフト統合であるため経費の削減効果は僅かである。人口減少に伴い料金収入が減る一方で、老朽施設の更新や物価の上昇による費用の増加が続いている。収入の増加が見込めない中で、今後も同様の傾向が続き経営の厳しさは増している。また、給水原価と実際の水道料金を比較すると50円以上の開きがあることから、今後料金改定を含め、長期的な視点での事業収支計画に基づき経営の健全化を図る必要がある。