地域において担っている役割
当院は地域の中核病院として幅広い年齢層の患者さんを診療しています。中でも、在宅療養後方支援病院として、在宅患者の急性疾患に対して入院治療を行っており、また、地域医療連携により在宅医療機関の診療支援を実施しております。また、周産期医療に力を入れているため、それに伴い新生児の患者数が多いことが特徴です。稲城市は高齢化が緩やかなほうとされていますが、ご高齢の患者さんも多くなってきており、昨年は80歳以上の患者さんが2割以上を占めています。
経営の健全性・効率性について
(1)収入が減となった要因につきましては、診療報酬の改定により、「一般病棟入院基本料」の条件である「患者重症度」が、「7対1入院基本料」の重症度を保つことが難しいことから、病棟の一部を「7対1」から「10対1」に変更したことにより、入院基本料が下がったことが要因となっております。次に、入院外来共に、長年勤めていただいた医師の退職や人事異動などにより、患者数が減ったことが、もう一つの要因となっております。(2)費用の削減・抑制にあたっては、「ベンチマークでの費用分析によるコスト管理」「ジェネリック医薬品の使用率向上」「医療機器購入にあたって医師を含んだ委員会での検討」を行い、費用削減・抑制に努めました。(3)各指標分析…減収により、①経常収支比率が3年ぶりに100%を下回り、また②医業収支比率も80%台に落ちてしまっております。このことは、(1)であげた要因により医業収益が落ちたことによるものです。次に、⑦職員給与費対医業収益比率が、前年度と比較し6.8%増加しましたが、これは医業収益の減収及び常勤医師、看護師の採用により給与費が上がったことによるものであります。
老朽化の状況について
新病院開設より18年が経過し、施設の損傷や設備の耐用年数経過が進んでいるため、計画的に施設・設備の点検や清掃を行い適切な管理を行っています。また、通常業務時のほかにも、災害拠点病院として災害時にも機能を発揮する使命があることから、引き続き施設・設備を常に健全な状態に保っていきます。
全体総括
平成28年度の診療報酬改定により、6病棟中3病棟を「7対1」から「10対1」に変更や、地域医療連携を強化し、退院支援加算1の施設基準を申請を行うなどの取り組みを実施しました。経営面では、平成24年に開設した健診・外来棟の医療機器等の減価償却の固定費や、本院が開設から18年経過したことによる施設や医療機器等の修繕費の費用の増加が医業収支に大きな影響を与えています。健全な病院経営が継続的に行えるよう、中期的な見通しに基づいた経営が必要であるため、「第三次稲城市立病院改革プラン」を平成28年度に策定いたしました。