地域において担っている役割
急性期医療を担う地域の中核病院として,診療科目16科,病床数200床の規模で,指定管理者制度のもと運営を行っています。平成28年度は,地域包括ケアシステムの構築への対応として地域包括ケア病棟を開設し,急性期医療から在宅復帰に至るまで切れ目のない医療提供体制の構築を推進しました。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率,医業収支比率とも100%を上回っており,類似病院と比較しても高い健全性を示していますが,病床利用率は平均値を下回る結果となっています。これは,電子カルテの入れ替え等の影響から上半期の稼働率が低下したことによるものであり,下半期だけで見ると約75%の数値で推移しています。また,患者1人あたりの収益については入院,外来とも前年度より減少したものの,依然として平均を大きく上回っており,急性期病院として手術等が必要な診療単価の高い患者を受け入れていることがわかります。材料費対医業収益比率は院内処方を採用しているため,平均よりも大きく上回っていますが,ジェネリック医薬品の採用などにより対前年に比べ費用の抑制を図っています。
老朽化の状況について
建物及び設備は,国からの有償払下げを受けた旧国立病院時代のものを使用しており,築40年を経過しているため,老朽化が著しい状況です。これまで,レイアウト変更や設備更新に伴う改修工事を行っているものの,大型化が進む現在の医療機器の設置が難しいなど,医療環境への対応が困難な状況にあります。また,一部の建物については,耐震性の判定基準において倒壊又は崩壊する可能性は低いとされているものの,官庁施設に求められる耐震安全性の値には届いていない状況です。こうした建物・設備の経年状況下で,今後も病院としての機能・役割を果たすためには,大規模修繕では対応しきれないため,建替えの必要があるとされています。
全体総括
現時点においては,収益により費用を賄えており,財務上の安全性は高く,類似病院と比較しても健全な経営状態にあると言えます。しかしながら,病院の建替えを行うには多額の事業費を要することから,病院事業債の償還や減価償却費の増大といった経営的なリスクを念頭においた運営が求められます。そのために,救急受入体制の強化,地域医療連携の推進などに積極的に取り組むことで,新規入院患者の増加や病床利用率の向上など,収入の増加を図るとともに,人件費の適正化やジェネリック医薬品の使用促進など,更なる費用の削減に取り組み,質の高い医療を安定的・効率的に提供できる自立的な経営体制を継続しつつ,より一層の経営改善に努めてまいります。