地域において担っている役割
二次救急をはじめとする急性期医療から回復期及び慢性期に至るまでの医療及び患者の疾病や状態に即したシームレスな診療を提供している。また、今後の高齢化の進展に柔軟に対応できるよう、在宅医療に着手し今後も積極的に展開していく予定である。通常の外来機能においては、近隣の診療所が提供していない診療科を補完することで、様々な疾病の早期発見と治療を行っている。当院の診療機能では診療することのできない疾患や状態の患者については、高次機能医療機関と円滑な連携体制を構築することで対応している。
経営の健全性・効率性について
健全性については概ね平均を上回る値で推移しているが、平均値と同様に当院も医業収支比率が年々減少傾向にある。このような推移は、診療報酬の改定の影響が大きいと考えられ、更なる収支の改善を図るには、他会計からの繰入に依存しない運営を目指す必要がある。効率性については、当院はケアミックス型の病院で、包括で算定する病床が55%を占める。そのため、入院の一日当たり収益は平均値を著しく下回ることになる。但し全体の平均でも3万円を下回ることは、出来高算定の病床の一日単価が低いことを表すため、特に手術を要する外科系の充実が必要であると考える。
老朽化の状況について
減価償却率が急激に上昇しているのは、H25年の独法化時に再評価した資産額を残りの耐用年数で償却しているためである。なお、病院の診療機能の大半が40年経過している建物に集中しており、現有の建物に対する過度な投資も行っていないため、1床あたりの有形固定資産も著しく平均値を下回っており、新耐震基準も満たしていないことから、1棟を残し建替えを検討している。
全体総括
概ね健全経営を行えていると考える。更なる収支の改善のためには、回復期病床の自院発生率の増加及び急性期病床の外科系患者の充実が必要である。なお、当院と類似病院平均値の⑤入院患者1人1日あたり収益⑥外来患者1人1日あたり収益⑦給与費対医業収益比率⑧材料費対医業収益比率を比較する限り、類似病院の多くが外来を院外処方にしているものであると推測できる。そのため、外来単価が低く入院単価が45,000円でも材料費率は当院と同水準となっていると思われる。類似病院の分類に包括病床の割合や外来処方方法があれば、より問題点の把握や分析がしやすくなるのではないかと考える。