地域において担っている役割
福岡市における医療施策として求められている救急医療,高度専門医療等を提供すること等により,市内の医療水準の向上を図り,もって市民の健康の維持及び増進に寄与する。
経営の健全性・効率性について
健全性について,福岡市立こども病院においては,効率的な病床管理による病床利用率の向上を図るとともに,集中治療系病床の再編やMFICUの設置などによる,重症患者の円滑な受け入れに取り組んだ結果,難易度の高い手術の増加や,総合周産期特定集中治療室管理料の算定開始及び手術における新生児加算の算定患者の増加等に繋がり,3指標の目標をすべて達成した。効率性について,外来患者1人1日当たり収益は類似団体と比較して同様の収益を計上しているが,入院患者1人1日当たり収益は類似団体の2倍強の収益を計上している。また,材料費対医業収支比率については,外部コンサルを活用した調達に係る価格交渉の徹底,契約方法や委託業務の見直し等を実施した結果,類似団体よりも低い水準で推移している。
老朽化の状況について
平成26年11月の新築・移転後間もなく,償却期間が短期であることから,有形固定資産減価償却率については,類似団体と比較して低率で推移している。なお,移転と並行して医療機器の更新も行っているが,資産の耐用年数の関係(建物よりも短期である)により,機械備品減価償却率は,類似団体と同様の率となっている。また,1床当たりの有形固定資産については,有形固定資産減価償却率と同様の理由により,類似団体と比較して高率で推移している。
全体総括
経営の健全性・効率性を表す指標は,類似団体と比較すると概ね良好に推移しており,現在の経営の状況は健全であるといえる。今後の課題としては,福岡市立こども病院においては,求められる高度小児医療,小児救急医療及び周産期医療を提供する病院としての役割を果たしていくため,必要な病床数や医療機能等について,医療環境を踏まえながら検討を進めていく必要がある。