地域において担っている役割
尾道市立市民病院は尾三医療圏の二次救急体制を担い、救急医療、がん診療を中心とした医療を提供している。また、地域医療支援病院として地域で完結できる医療の提供に努め、二次医療圏における地域医療全体のレベルアップと、この地域での医療提供体制の整備を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成26年度以降経常収支比率、医業収支比率ともに100%を下回る状況となっている。特に医業収支比率の落ち込みが激しく、時期を同じくして病床利用率の低下、職員給与費対医業収支比率が上昇している。平均在院日数の短縮も含めて手厚い医療の提供による患者単価の向上を指向したが、常勤医師の減少あるいは医療圏人口の減少により、患者数も減少している。患者1人1日当たり収益は平均値を上回っているが、新たに地域包括ケア病棟を設けたことにより全体として数値が低下している。一方で地域包括ケア病床の稼働率は順調に推移し、全体としての病床稼働率も上昇している。職員給与費対医業収益比率は職員の最適配分等によりわずかながら改善の兆しが表れている。また、材料費対医業収益比率は平均値より低くなっており医薬品や診療材料の購入は適正かつ効率的に行われている。
老朽化の状況について
病院建物本館は築36年、新館は18年が経過している。有形固定資産減価償却率が示すとおり、老朽化も進んでいるため、施設の再整備も検討している。平成28年度の1床当たり有形固定資産の増大は、病床削減の影響と考えられる。
全体総括
平成29年度の決算においても、経常収支比率、医業収支比率ともに100%を下回り、非常に厳しい経営状況となっている。地域において新たな役割が求められる中で当院においても病院の役割、機能を見直し、急性期中心の医療提供体制から地域包括ケア病棟を含む新たな体制への転換を進めている。地域包括ケア病棟の稼働が概ね順調に推移する一方で一般病棟への患者確保は低調な状態が続き、依然として不安定な経営状況にあるが、経営改革の取り組みを着実に進め、持続可能な病院運営に努めている。