地域において担っている役割
・こども病院は県内唯一の小児専門病院であり、他の医療機関等との役割分担と連携のもと、小児・周産期医療、小児救急医療、小児がん医療に対する高度専門・特殊医療を提供し、高度急性期医療を担っている。
経営の健全性・効率性について
・経常収益は、診療機能の高度化に伴い前年度から増加したが、移転に伴う医療スタッフ充実等経費の増加により、経常損益は4期ぶりに赤字となったため、①経常収支比率は100%を下回った。・前年度まで全国平均を上回っていた②医業収支比率は、移転前後の患者受入調整の影響で入院・外来収益が減少し、前年度を11ポイント下回った。・小児専門病院である当院の⑤入院・⑥外来単価は、総じて類似区分病院平均値を上回っているが、④病床利用率が減少傾向にある。・収益力の向上に向け、地域連携の推進や診療機能の充実等による受入患者の拡大が課題である。
老朽化の状況について
・昭和45年に全国で二番目の小児専門病院として神戸市須磨区で開院し、施設の老朽化・狭溢化が進んでいた。・質の高い医療と安全安心な病院の実現を目指して策定された「県立こども病院建替整備基本計画に基づき、平成28年5月に神戸ポートアイランド内に新病院を整備し、移転・開院した。建物の新築、機械備品の新規購入に伴い、移転開院1年目の①有形固定資産減価償却率、②機械備品減価償却率は、大幅に低下した。・一般的に小児専門病院は医療機器の設備に占める割合が同規模の一般病院に比べて高い傾向にあるが、新病院移転により医療機器を新規取得し診療機能の高度化を図ったため、③1床当たり有形固定資産の金額が増加した。なお、旧病院から移設した医療機器については、保守点検や修繕等、適切なメンテナンスに努めている。
全体総括
・平成28年(2016年)度に策定した「新県立病院改革プラン」において、少子化の進展や医療需要の変化、医療政策の動向等を見極め、2025年に向けて高度専門・特殊医療の一層の充実を図ることとした。・2016年度から2020年度までの5ヵ年の主要経営指標の数値目標を設定し、2019年度の経常収支黒字を目指す。・ハイリスク妊産婦等の受入強化、診療応援等による先天性心疾患の新規患者の確保等、患者数の増加に向けた取組みや、特定入院料の算定率向上、在院日数の適正化等により、収益面の強化を図る。・費用面でも、後発医薬品の使用拡大、価格交渉による診療材料費の低減、修繕費や光熱費等経費の削減により、材料費比率、経費比率の改善を目指す。