地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に基幹医療を提供し、地域の中核病院として地域全体の医療・福祉の向上に寄与している。救急医療・小児医療に加え、平成22年には、地域周産期母子医療センターをオープンし、地域住民が安心して分娩と子育てができる環境の整備を行い、市民の健康を守る総合病院として地域医療を行っている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率については、これまで類似病院平均値を上回っていたが、平成28年度は、外科医師2名等の退職に伴って手術件数が減少し、平均を下回る結果となっている。医業収支比率については、医師退職・病床利用率の低下により前年に比べて医業収益が6.6%減額したことで、類似病院平均値に比べて減少の幅が大きくなっている。累積欠損金比率については、比率計算上分母にあたる医業収益が減少したこととで、比率が高くなっている。また、職員給与費対医業収益比率及び材料費対医業収益比率は類似病院平均値に近く、収益についても入院患者1人1日当たり収益は類似病院平均値を上回っている。一方で、外来患者1人1日当たり収益は、単価の低い慢性疾患患者の受け入れも多いこと等の要因により類似病院平均値を下回っている。
老朽化の状況について
現在の建物は平成10年に建替えを行い、地域周産期母子医療センターについては平成22年に整備したものであるが、施設全体の老朽の度合いを示す有形固定資産減価償却率が年々上昇しており、平成28年には類似病院平均値を上回る結果となっている。機械備品減価償却率についても、類似病院平均値を上回っているため、施設・機械備品の計画的な更新が必要と考えられるが、現在は、経営状況を鑑み、診療の継続に係る機器など優先順位を設けて更新を行っているところである。また、NICU6床、GCU9床を設置しているため、1床あたりの有形固定資産額が類似病院平均値を上回っている。
全体総括
本院では、平成28年11月に国が示したガイドラインに沿って新公立病院改革プランを策定し、現在、病床利用率の向上、医業収益の確保に向けた経営改善の取組を進めているところである。平成28年度については、病棟編成の見直しや医師確保に取り組んできたが、依然として常勤医師不在の診療科があることや外科医師の退職などで充分な診療体制を確保することはできなかった。ただし次年度に向けて、事業管理者として元大学病院院長を招聘するとともに、民間からの公募により事務局長を迎えることで経営体制の強化を図ることができた。今後も、引き続き医師確保による診療体制の充実化、近隣病院・診療所との連携の強化による救急診療及び紹介患者の積極的な受け入れなど、経営改善に向けての取組を進めていく。