京丹後市：京丹後市立弥栄病院

地域において担っている役割

丹後医療圏の中でも京丹後市内を中心に、地域医療を積極的に担当するへき地医療拠点病院として、次の役割を行っている。①二次救急医療機関としての救急患者の受入。②市内唯一で、丹後医療圏最大規模のお産施設の堅持。③高齢者の人口割合が高い地域の特色に応える「長寿医療」の展開。④循環器疾患などの生活習慣病への対応や人工透析の実施。⑤訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなど在宅医療の推進。

経営の健全性・効率性について

本市では、平成29年度から平成32年度までの4年間の「京丹後市立病院改革プラン【改訂版】」を策定し病院改築整備事業を行いながら収益増加に努めている。この結果、事業収益は過去最高額となり、一方費用面では病院改築整備に係る経費や人件費の増加により経常収支比率は、類似病院平均値と同程度で推移。収益面では入院患者1人1日単価がカテーテル治療・検査件数の増加により前年よりは増加したものの、外科医師不在に伴う手術件数の減、軽症な慢性期患者の増により全国・類似病院平均値と比較しても低い。また、コスト面の材料費対医業収益比率も後発医薬品の使用率が低い事や整形患者層の割合が多い事による診療材料費の増により全国・類似病院平均値を下回っている。このような状況を踏まえ、引き続き常勤医師体制の確保、病床機能を転換（病床の一部→地域包括ケア病床）するなど増収に繋げ、よりいっそう経営の効率化を図っていく必要がある。

老朽化の状況について

当院は、建設後2号館が41年、3号館が34年経過し、建物・設備の老朽化と狭隘化が顕著で、耐震上の問題があることに加え、医療提供上の問題や利用者の動線やプライバシーの配慮、医療機能の向上を阻害する多くの課題を抱えている。このため、弥栄病院改築整備基本方針を平成25年度に定め、平成26年度から基本設計業務、平成28年度から改築整備に取り組み、新棟は11月末に供用開始を行った。引き続き既存棟の改修を行い、平成30年度秋期に全ての工事が竣工予定である。また、機械備品についても耐用年数を経過したものが多くあるが、改革プランで定めた金額内で計画的な更新を行っていく予定である。

全体総括

収益的収支は赤字となったが、事業収益はカテーテル治療・検査件数の増加により過去最高額となった。また、事業費用では病院改築整備に伴う経費や人件費の増加により増となった。今後も病院改築整備での経費の増加が見込まれるため、病床機能の転換に向けた取り組みなど診療収益の増収を図っていく必要がある。一方で、材料費・経費等の見直しを行い経費削減に努め、改革プランに定めた経営指標に基づく数値目標達成に向け取り組んでいる。