地域において担っている役割
地域において、良質で高度な二次医療の提供、救急医療体制の確保に重点を置き、地域の医療機関との機能分担、機能連携の強化及び充実に努めている。小児二次救急では、「小児救急医療センター」を設置し、24時間365日の受入体制を整備している。なお、時間外救急では、伊賀区域で名張市立病院を含む3つの基幹病院にて輪番制救急医療体制を構築し、その約50%の割合を当院が担当している。
経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は平均値より若干上回っているが、不足財源を一般会計からの繰入金に頼っているため、その増減により比率が変動している。「医業収支比率」は平均値を上回っている。救急医療確保に要する他会計負担金に頼る部分もあるが、医師確保や病床利用率の向上等により改善傾向にある。「累積欠損金比率」の改善は純利益の発生が要件であるため医業収支・経常収支の改善に努める。「病床利用率」は医師確保が進んだことなどから平均値よりも高い。引き続き病診連携の強化により利用率の向上に努める。「入院患者及び外来患者1人1日当たり収益」も医師確保が進んだことや手術件数の増加等により向上傾向にある。「職員給与費対医業収益比率」は平均値以内であるが、医師増に伴う更なる収益増加を図る必要がある。「材料費対医業収益比率」は平成28年度に平均値を下回った。引き続き材料価格の継続的な値下交渉や効率的な執行に努める。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」と「機械備品減価償却率」は改善が必要な状況であり平均値を大きく上回っている。開院20周年を控え施設のほか医療機器の老朽化が進んでいる。今後、施設等の「更新計画書」を作成し計画的に更新・修繕に取り組む予定である。「1床当たり有形固定資産」は平均値を上回っている。その要因は、主に病院施設(建物)にかかる未償却の有形固定資産が残存しているためである。
全体総括
当院は一時の医師不足も乗り越え、医師確保を着実に進めてきたが、経営状況は個々の指標にもあるようにまだまだ不安定である。そのため平成28年度に第2次名張市立病院改革プランを策定し、さまざまな改革項目に取り組んでいる。この病院改革プランを推進することで、各種指標の改善のほか、地域における救急医療、急性期・高度医療を担う中核病院の機能を果たすとともに公営企業として自立・継続可能な病院となるよう引き続き経営基盤の強化に努める。