地域において担っている役割
当院の主エリアである旧庵原3町及び旧芝川町の地域において、入院施設のある病院は当院のみです。透析のできる施設もなく地域住民にとって存在意義は大きく、患者満足度調査からも当院に対する期待が窺えます。また、救急医療は24時間365日体制で実施しています。医師不足の状況が続いているため、非常勤医師を活用しながら1次救急から2次救急まで、可能な限り救急患者の受け入れを実施しており、救急医療を維持することは、この地域に対しての責務と言えます。さらに、災害医療の面においても静岡市、富士市、富士宮市から救護病院の指定を受けており、地理的特性から大規模地震時には病院の孤立化が懸念される当エリアにおいて、当院の果たすべき役割は大きいと認識しています。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成市からの損失補填補助金収入により、高い比率になっています。本業である医業収支比率は、類似病院と同様の数値になっていますが、医業費用を医業収益で賄えていません。入院単価は当院がケアミックス病院であることから類似病院と比較して低い状況となっています。外来単価は類似病院と比較して低い状況となっています。医業収益に対する給与費率が高い状況となっていますが、職員の高年齢化や、医療提供体制を確保するための非常勤医師の賃金などが給与費を押し上げている要因と考えます。このため、経営の健全化に向けて常勤医師化を進めて入院・外来の患者数や単価の増を図るとともに、引き続き費用の削減に努めていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は60%を超えており、類似病院の平均値を大きく上回っております。有形固定資産減価償却率が高い要因として、病院建物の老朽化があります。適切な修繕等を実施し長寿命化に努めていますが、今後、計画的な更新等を検討していきます。器械備品についても法定耐用年数を超えて使用しているものが多数ありますが、順次、計画的な更新に努めます。1床当たりの有形固定資産の金額が類似病院に比較して高いのは、許可病床の削減や健康診断センター、看護学校など附帯施設を有していることが要因です。
全体総括
当院は、富士医療圏及び静岡医療圏の境界に位置し、両圏域の患者を受入れています。特に外来患者の約75%、入院患者の約60%は、旧庵原3町と旧芝川町の住民で占められており、この地域には競合する公立・公的病院、民間病院はありません。このため、民間病院との統合や再編は困難と考えます。また、当院はケアミックス型病院であり、近接する両市の市立病院とは病床機能において、急性期、回復期で重複するものの適切な配分になっており、慢性期は、当院だけが持つ病床機能です。